東京医科大学の女子一律減点、医師の65%が「理解できる」

2018年8月20日 13:55

 東京医科大学の女子一律減点が議論を呼んでいる。女子一律減点は女性差別だとする者がいる一方、女性医師の離職率が実績において高くなっている以上、制度維持のためにはしかたがないという意見もある。

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 医療コンサルタント業のエムステージが医師の男女103人に対して東京医科大学の女子一律減点に関するアンケート調査を実施し、その集計結果を公表している。

 女子一律減点に関する意見を聞いたところ、「理解できる」が18.4%、「ある程度は理解できる」が46.6%、「あまり理解できない」が3.9%、「理解できない」が31.1%で、「ある程度は理解できる」が最も多く、「理解できる」と「ある程度は理解できる」を合わせると65.0%医師が程度の差はあれ「理解できる」と回答している。

 「理解できる」と答えた者の意見を見ると、「実際自分も、家事育児をするために仕事を調整して、できないことも多い」(小児科医)。「医療システムの問題として、激務は事実。また、妊娠出産での欠員を埋めるようなバックアップシステムが不十分であることも事実」(小児科医)。「男性医師が深夜12時過ぎまで働いたり、当直の肩代わりなど、現実の負担増を考えると東京医大がやったことも必要悪として気持ちはわかる。」(放射線治療)。「現状で、女子の離職率や勤務制限があるのは事実であり、男性や未婚女性への負担が大きくなっているから」(放射線科)などとなっており、現状を考えた場合しかたないという意見が目立った。

 「理解できない」と答えた者の意見を見ると、「どうしたら復帰できるか、医局を離れないようになるかを変えるべき」(産婦人科)、「女性医師が産休育休後に復帰しやすい職場環境を整えないと医師不足は進むばかり」(精神科)などとなっており、現状を改善するべきだという意見が多かった。

 今後医療業界に必要なことを尋ねると、「コメディカルの増員」(放射線治療)、「全て医師が抱え込む権力一極集中を辞めて、ナースプラクティショナーなどへの権利依託」(内科)、「男女に対してフレキシブルな働き方を認める必要がある」(産婦人科)、「保育園やシッターサービスの拡充、主治医制の撤廃」などとなっており、制度・組織改革、働き方改革が必要であるとの意見が目立った。(編集担当:久保田雄城)

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