日本初の“幸福感”が続く住まいを研究 積水ハウス「住生活研究所」
2018年8月15日 14:03
「家事をワクワクさせたい」積水ハウスが8月1日に新たに開設した「住生活研究所」は、企業として日本初となる「幸せ」の研究に取り組む。「家を構えることが目標とされた時代もあったが、今からは暮らし始めてからの価値を見極める時代になった」と所長の河崎氏が話すように、住まいづくりから日々の暮らしへと続く「住めば住むほど幸せ住まい」研究を基本に据えて活動する。当初スタッフは9人で、同時に同社内各部署との協働の基、さまざまな研究に取り組み、早期に研究結果を示すモデルハウスなどの提案を行なう。
住生活研究所の所長は、1987年同社入社の河崎由美子氏。これまで同社でキッズデザインなど子育て家族の住宅デザインやコンセプトづくり、ライフスタイル研究による住まいのあり方など、日々の生活に密着した住環境の研究開発を推し進めてきた人物。この4月に同社総合住宅研究所 住生活研究室室長に就任していた。
住生活研究所は、文字面で「幸せ」を研究するとしているが、これまでも積水ハウスとして「安全・安心」「快適性」「環境配慮」「機能性」「効率性」を研究し追求してきた。新たに立ち上げる住生活研究所は、これらに加えて「すこやか」「つながり」「私らしさ」「生きがい」「楽しさ」「役立ち」といった、あらたなテーマに取り組む。
これらについて河崎氏は、「定量的に数字などで表現しにくい概念だ。しかし、これからの“人生100年”という世の中において、これまで積水ハウスが住宅建設で培ってきた240万戸に迫る建築実績を調査・分析対象として、もっと科学的で人々に伝えやすい研究成果を示したい」とした。また幸福学の権威である、慶応義塾大学の前野教授と共同研究を進めることも発表した。
つまり、積水ハウス住生活研究所は、これからの住まいとして「健康」「家族のつながり」などの「幸福感」を提供するための研究を推し進めるという。
会見で研究所長として河崎氏が、ひとつ“幸せな住宅”として示したのは、1994年に共働き世帯が多数派となって以降、3世帯に2世帯が共働き世帯であるとの現況を踏まえた、共働きファミリーが暮らす家、家族で家事が楽しめる住まい“トモイエ”だ。一人だけで料理をするのではなく、家族で手伝いながら料理をするのに最適なセパレートキッチンなどを、調理実験で移動動線の検証を重ねたうえで提案している。
そこで暮らす夫妻あるいは子供たちは、“家族団らんの時間は大切”としながら、疲れを癒しつつリラックスできる“自分の時間も大事”だという二律背反した要素を求めている。つまり、「私らしさ」や「生きがい」「楽しみ」など が“家”に求められる時代となった。
積水ハウスの住生活研究所は、人々の幸せな住まいづくりに貢献するとともに、今後の研究結果を広く公開し、これまでの研究実績や社外専門家との共同研究など大切な基礎データを基に新しい“住まい方”を探しながら「幸せ」と「住めば住むほど幸せ住まい」をつくる研究に取り組む。(編集担当:吉田恒)