ハローワーク求人票の偽り記載、3年連続の減少 「賃金記載」が最多
2018年8月14日 11:00
近年、ブラック企業などと呼ばれる不当な、場合によっては違法な労務管理を行う企業が問題視されている。こうした企業が横行する背景の一つとして、日本では雇用契約の際に契約書の作成や募集広告の内容記載が軽視されがちであったという慣習があるのではないか。これはグローバリゼーションの観点からも日本の信用を著しく落とすものであろう。
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政府もこの点を深刻に受け止め、改善に向けて努力しているようだ。厚生労働省が今月3日、平成29年度のハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数を取りまとめ、これを公表した。
報告書によれば、2017年度の申出等の件数は8507件で前年度と比較すると8.5%の減少となっており、2015年度から3年連続で減少したということになる。
申出等を内容別に見ると、「賃金に関すること」が2336件で全体の27%を占め最も多く、前年度から引き続きトップとなっている。次いで「就業時間に関すること」が1789件で全体の21%、「職種・仕事の内容に関すること」が1255件で15%の順となっている。
要因別件数で主なものを見ると、「求人票の内容が実際と異なる」が3362件で最も多く、「求人者の説明不足」が2070件で以上の2つが前年度に引き続き多数を占め、次いで「言い分が異なる等により要因を特定できないもの」が778件、「求職者の誤解」が480件と続く。
産業別では、「医療福祉」が1490件で前年度同様に最多となっており、以下「卸売・小売業」の1377件、「製造業」1234件、「サービス業」1003件の順になっている。
ハローワークでは、求人票の記載内容と実際の労働条件の相違について申出等が合った場合、事実確認を行い、事実確認の結果求人票の記載内容が実際の労働条件と異なっていた場合には、是正指導を行っている。
17年度では実際に異なっていたのは3362件存在した。これに対する対応状況は、「求人票の内容を変更」が777件で対応したケース全体の23%を占め最も多く、次いで「求人票取消(事業所取消)」が260件で8%、「職業紹介の一時保留」が257件で8%、「求人票に合わせ労働条件等を変更」が189件で6%となっている。
相違件数の減少傾向はこうしたハローワークの取り組みの成果とも考えられる。引き続き適切な指導が実施され信用できる労働市場の形成が行われることを期待する。(編集担当:久保田雄城)