内外が反転状態になった惑星状星雲のメカニズムを解明 スペインでの研究
2018年8月12日 21:58
太陽のような恒星が崩壊したのちの最終形態として、惑星状星雲が知られている。スペインのアンダルシア天体物理学研究所は6日、惑星状星雲Hubi 1を調査したところ、通常とは「逆さま」の状態になっていることを突き止めた。中心星が再結合するため、奇妙な状態になったのだと研究グループは結論づけた。
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恒星の進化形態として、超新星が知られている。恒星が一生を終えると、大規模な爆発が生じる現象である。超新星にならない恒星は赤色巨星に進化し、中心星の紫外線に照らされて輝くのが「惑星状星雲」だ。18世紀の天文学者ウィリアム・ハーシェルが最初に名づけ、みずがめ座のらせん星雲NGC7293などが知られている。
恒星は終末期を迎えると、ガスや塵を放出する。この物質が電荷を帯びた物質の雲を形成する。これが、惑星状星雲と呼ばれる天体だ。太陽に似た中間サイズの恒星は、惑星状星雲に進化するという。
2層から成る惑星状星雲は、赤色巨星の状態になった恒星が白色矮星へと進化するにつれ高温状態になる。そのため、中心の星に近い星雲は電離の進んだヘリウムのようなガスから構成されるものの、外側の星雲を形成するガス状の物質は電離が進んでいない。ところがHubi 1では、内側から外側の星雲にすすむほど、物質が電離されていることが判明した。
アンダルシア天文物理学研究所のマーティン・ゲレロ(Martin Guerrero)氏らからなる国際研究グループは、Hubi 1をスペクトル解析した。その結果、「バウショック」と呼ばれる衝撃波によって励起され、外側の層が再結合していることを突き止めた。過去約50年のあいだに、中心星の光度が急速に減少しているという。
研究グループが提唱する仮説によると、冷却された塵が星を覆い隠すことで、中心星から電離した光子が放出されない。そのため、外側の星雲は再結合を始めるのだという。
研究グループによると、Hubi 1はだんだん薄暗くなっているという。仮説が正しければ、今後塵が拡散し、より鮮明な状態になったHubi 1を観測できるとしている。
研究の詳細は6日に、Nature Astronomyにて掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)