ブルーダイヤモンドの色は、太古の海の色であったことが判明
2018年8月5日 21:07
●フランス王妃マリー・アントワネットも所有していた「フランスの青」
現在は、アメリカのスミソニアン博物館で展示されている「ホープダイヤモンド」は、45.52カラットという、その大きさ、独特の青色、歴史的価値などから、価格がつけられないといわれているブルーダイヤモンドだ。
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最新版の『Nature』誌の表紙を飾ったホープダイヤモンドは、フランス王家が所有していたこともあり、「フランスの青」とも呼ばれている。同誌に、ブルーダイヤモンドの研究を発表したのは、アメリカのジェモロジカル・インスティテュート(GIA)が率いる国際研究チームである。
そして、独特の青色は、古代の海に存在したホウ素が原因であることが判明した。
●宝飾品として貴重であるため、研究対象となることはまれ
GIAの研究者の一人エヴァン・スミス氏は、ブルーダイヤモンドは宝石として非常に高価であるため、鉱石として研究の対象にすることが非常に難しく、ゆえに含有する鉱物質
の発見はまれであると語る。
今回の研究はアフリカ、インド、南米、ボルネオから収集した46個のブルーダイヤモンドが調査の対象となった。
●深さ660キロメートルで形成した鉱物
GIAの分析により、ブルーダイヤモンドは410キロから660キロの深度に存在する温度や圧力を受けていた可能性が高いことが判明した。これは、通常のダイヤモンドよりもかなり深い、上部マントルと下部マントルの境界線当たりとされている。
●ブルーダイヤモンド中のインクルージョンを分析
さらに、X線によりブルーダイヤモンド中のさまざまなインクルージョン(不純物)を分析した。
ブルーダイヤモンドの特徴的な色の原因となったホウ素は、蛇紋岩と呼ばれる岩に含まれている。この岩は、地球のプレートの動きとともに地表から深部に組み込まれて、ホウ素を放出したと考えられる。
その層に、ダイヤモンドを作り出す炭素が豊富にある場合には、ホウ素がダイヤモンドを青色にする効果をもたらしたと推測される。
●ブルーダイヤモンドの由来を調査することでわかる地球の変化
宝石の由来を調査することは、地球の進化を研究するうえでも非常に重要である。
今回のブルーダイヤモンドの調査によって、水分に含まれる鉱物がこれまでの仮説よりもより深いマントル内に移動することが明らかになったことになる。