最古の隕石に含まれる青い結晶から初期の太陽の活動が明らかに

2018年8月4日 17:53

 太陽の初期の活動に関しては、謎が多い。地球に落下した隕石に含まれる青い結晶から、太陽が非常に活発的に運動していたことが明らかになった。

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 研究をおこなったのは、シカゴ大学と米国フィールド自然史博物館、チューリッヒ工科大学の科学者らによるグループだ。

●初期の太陽の活動を明らかにする淡青色の結晶

 太陽は、約46億年前に誕生したと推計される。地球の誕生から約5,000万年前のため、太陽の初期の活動を証明する化学的な痕跡を残した物体を発見するのは非常に困難だ。

 今回調査に使用されたのは、フィールド自然史博物館に保管される隕石である。隕石に含まれる「イボン石(Hibonite)」と呼ばれる、微視的に淡い青色に輝く結晶が、太陽の初期の活動を示す痕跡を残している。

 このイボン石が形成されたのは、約45億年前以上であると推計される。つまり、太陽系で形成された初期の鉱物であろう。

 問題はこのイボン石から初期の太陽の活動を示す化学的な痕跡だが、その鍵が「エネルギー粒子線」と呼ばれる太陽活動によって宇宙に放出される荷電粒子だ。初期の太陽が多数の「エネルギー粒子線」に分かれていた場合、そのとき生じた核反応の痕跡をイボン石が残しているという。

●初期の太陽はまるで「やんちゃ坊主」

 研究グループらが描く初期の太陽が活動し惑星が誕生するシナリオはこうだ。惑星が誕生する前、太陽とその周辺を円盤状に渦巻く大量のガスと塵から、太陽系は形成されていた。2,700度以上のガスが冷却し、イボン石が形成されたという。

 研究メンバーのひとりであるフィールド自然史博物館のフィリップ・ヘック氏は、初期の太陽を3歳児にたとえて、「やんちゃな坊主」であったと語る。高エネルギー状態のガスや塵が冷却され惑星を形成するさまと、やんちゃな坊主が冷静沈着な大人へと成長する様子をヘック氏は重ねあわせる。

 もっとも、今回の研究は太陽の初期の活動を証明するための始まりにすぎない。隕石にイボン石が含まれることは非常にまれで、精密な器具を用いて実験を重ねる必要があるという。

 今回の研究は、7月30日にNature Astronomy誌上の論文にて掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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