アルツハイマー病、開発中の新薬に効果が認められる

2018年8月3日 17:04

●バイオジェンとエーザイの共同開発

 大手製薬会社ファイザーが断念したことで話題になったアルツハイマー病の新薬に、新たな光が見えてきた。7月の終わりにシカゴで開催された「アルツハイマー病協会国際会議」において、バイオジェンとエーザイが開発中の新薬についてのテスト結果が公表された。「Ban2401」と名付けられたこの新薬は、18カ月に及ぶ臨床試験において症状の進行を30%抑制したと報告されている。

【こちらも】ファイザー、アルツハイマー病の治療薬開発を断念

●アミロイドβの除去に成功か

 脳内におけるアミロイドβの蓄積がアルツハイマー病の原因とされてきたが、これに対抗する薬剤はこれまで開発に失敗してきたという経緯がある。「Ban2401」は、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβを除去する効果を上げた。

 第II相試験では、アルツハイマー病の患者856人が6つのグループに分けれられた。グループのひとつにはプラセボを投与し、5つのグループには異なる量の実薬を投与し調査された。

 その結果、最も投与量が多かったグループの161人に対して、認知力低下の進行が減速したことが明らかになった。つまり、最高投与量のグループの81パーセントが、投与から18カ月後には脳内のアミロイドβが陰性となったのである。

●第III相試験の必要性

 脳内のアミロイドβの減少と認知力低下の抑制という2つの効果が決定的であれば、新薬の早期承認は当然であるという声がある一方、許可申請のためには第III相試験の必要性を求める声も強い。

 アルツハイマーズ・アソシエーションのジム・ヘンドリクス博士は、「Ban2401」が認知力低下を抑制するために効果があったことは非常に重要であるものの、これまでの結果を果たして再現できるのか、新たな試験は必須とコメントしている。

 世界中に2,000万人近い患者がいるといわれるアルツハイマー病は、有効な新薬の開発がことごとく失敗を繰り返しており、「Ban2401」は2020年をめどにしていた実用化が早まる可能性もあるという。

関連記事

最新記事