NASAの探査機「TESS」、太陽系外惑星の探査活動を開始
2018年8月2日 08:42
NASAは、太陽系外の近くの惑星を観察する探査衛星「TESS」が、7月25日に正式に活動を開始したと発表した。TESSとはトランジット系外惑星探査機のことである。2018年4月18日、SpaceXのファルコン9ロケットで打ち上げられた。TESSは、2年間の間に全天の明るい星、20万個の恒星を周回する惑星を観測する予定である。
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NASAワシントン本部の天体物理学部長であるポール・ヘルツ氏は「私たちの太陽系の近くにある天体を、掃天観測(スカイサーベイ)を行う準備が出来ていることに興奮している」と述べている。
トランジットと呼ばれる方法を用いて、主星からの光の一部を定期的に遮断する外惑星を見つける。TESSの科学者は、この任務で何千もの惑星候補を分類し、既知の外惑星の現在の数を大幅に増やすことを期待している。これらのうち約300個は、地球の大きさの2倍以下の地球規模の超大型外惑星であることが期待されている。
TESSの研究する星は、NASAが2009年に打ち上げたケプラー宇宙機の、太陽光圧を取り入れたK2ミッションの追跡調査と比較すると、地上と宇宙に基づく望遠鏡の追跡調査をはるかに簡単にすることができる。TESSは、ケプラーが監視している400倍以上の空の領域もカバーすることになる。
外惑星を検出する測量法では、惑星がその主星の中でどのくらいの量の光を落とすかで、惑星の大きさを決定することができるという。また、惑星が軌道を回るのにどれくらいの時間がかかるかを見て、惑星の軌道の形状と惑星が太陽を巡るのにどれくらいの時間がかかるかを調べることが可能である。
また、すでに知られている惑星の大きさ、軌道と質量を使って、TESSと地上の追跡調査で惑星の組成を調べる予定だ。これは惑星が岩石(地球のようなもの)なのか、ガス巨星(木星のようなもの)なのか、さらにもっと珍しいものなのかを明らかにするという。 将来的にはNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を含む、地上、宇宙ベースの任務での追加調査で、これらの惑星の大気などを研究することを可能にするだろう。
TESSチームのパートナーには、マサチューセッツ工科大学、Kavli天体物理学研究所、NASAのゴダード宇宙飛行センター、MITのリンカーン研究所、Orbital ATK、NASAのエイムス研究センター、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター、宇宙望遠鏡科学研究所などがある。また、世界中の十数の大学、研究所、天文台がミッションに参加している。