広がる新型うつ 周囲の理解が重要
2018年7月31日 09:08
企業で働く若手社員を中心に「新型うつ病」と呼ばれる精神疾患が広がりを見せている。会社で少し上司から注意されただけで過剰反応してしまったり、激高してしまったりする若者が増えてきているのだ。新型うつの患者にとってつらいのは、この病気が周囲の理解を得られないという点だ。
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「新型うつ病」とはそもそも心理学用語ではなく、メディアによって作られた言葉だ。新型うつが精神疾患なのかどうかという点も、いまだ精神科医の間で議論されている。しかし多くの精神科医はいわゆる新型うつが非定型うつ病に似ているということを認めている。非定型うつ病では会社での仕事など自分の気分が乗らないことに面すると気分が落ち込み、帰宅後や休日は普段通り活発に活動できるという症状が出る。さらに自分に非があると過度に考える従来のうつ病に対し、新型うつでは他人に責任を転嫁する傾向があるとされる。他社に対して攻撃的になり、他人がどんな迷惑を被るかという点についても気に留めないというのも新型うつの特徴だ。仕事中はふさぎ込み、休日は普段通りの生活を送ることができるため、会社の上司や同僚からは仮病ではないかと疑われるケースが多い。
もちろん会社は利益を上げるための組織であり、仮病かもしれない従業員に給料を支払うために存在しているわけではない。しかし人材不足が深刻化している現在、今いる人材を失いたくないというのも企業の本音だろう。そうなると、必然的に新型うつの従業員に対して適切なアプローチを行って仕事をしてもらうというのが最善の策ということになる。幾人かの精神科医によれば、新型うつと考えられる社員への業務量を減らすこと、配置転換、休職などによって社員へのサポートが行えるとのことだ。もちろん普段接する同じ部署の同僚や上司がどのくらい理解を示せるかという点も重要になる。今後は若手社員のみならず、多くの社員に見られる新型うつへの周囲の理解を深める対策も企業に求められるようになるのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)