酷暑が予想される東京オリンピックのマラソン、日本人選手には追い風か

2018年7月31日 07:00

■東京オリンピックのマラソン

 東京オリンピックのマラソンは、女子が2020年8月2日の朝7時、男子が8月9日の朝7時開始に決定した。もともと7時30分開始予定だったが酷暑を懸念し、30分スタートを早めた。30分早くなることで気温が下がるだけでなく、日が出て時間がそこまでたっていないため、地面の温度が上がり切っていないことも涼しく感じられる要因の一つだ。

【こちらも】東京五輪組織委ら、サマータイム導入を提案

 とはいえ2018年の7月に東京で40度を超えたというのは不安材料となる。海外メディアもこれは危険と感じており、1912年ストックホルムオリンピックの男子マラソンで1人のランナーが熱中症で死亡、参加68人中33人が途中棄権するという最悪な事態を思い起こさせるという心配もある。

 気温に加え湿度も大敵となるため、30分スタートを早めたからそれでいいというのではなく、数多くの工夫を凝らしてほしい。

■日本人ランナーにとっては有利か

 しかし、過酷になればなるほど日本人ランナーの勝機は増える。本番さながらのトレーニングを積むことができる上、本番のシュミレーションを立てることができる。さらに他国の選手より有利な休養を取ることができる。マラソンで秒差を争うことになることはあまり多くないが、コンディション調整が少しでもずれると全然力を発揮することができずに終わり、本来出せるはずのタイムから大幅に遅れを生じさせてしまう。

 そういった意味で日本人ランナーには追い風が吹いているといえそうだ。

■暑くなることで考えられること

 もう一つ暑くなることで考えられることがある。それは有力なアフリカ勢が出場を回避することだ。日本人ランナーの多くは「オリンピックが一番大きな大会」と位置付け、「オリンピックのために頑張る」「すべてをオリンピックにささげる」という考えを持っている。

 しかし、海外のランナー、特にアフリカ勢は、オリンピックはレースの一つであり、重要なのは賞金のかかるレースでいかに勝てるか、「賞金をどれほど稼ぐことができるか」というランナーも少なくない。

 酷暑でのレースは体への負担が大きく、他のレースを回避しなければいけなくなる可能性につながる。そうなると名誉のオリンピックより賞金レースを取るというトップレーサーは出てくるだろう。オリンピックへのモチベーションがさほど上がらず、酷暑による優勝候補の離脱、ということが相次げば「日本人のメダリスト誕生」というのは夢ではないかもしれない。暑さによりコクになればなるほど期待値は上がる、という皮肉な状況もあるかもしれない。

関連記事

最新記事