GDP600兆円超えは21年度に修正 財政均衡は27年度 経済財政諮問会議

2018年7月29日 23:55

 現在、日本経済は世界経済の回復を受けて緩やかな回復基調にあるが、このところ消費の弱含み、人手不足による倒産の増加など一服感を示す動きもみられる。政府の中長期の成長見通しもこうした諸指標を勘案してか下方修正となった。

 9日、内閣府の第11回経済財政諮問会議が開催された。この中で「中長期の経済財政に関する試算について」報告がなされた。中長期的なマクロ経済の姿としては、「前回試算に比して足元の潜在成長率や物価上昇ペースが鈍化したことにより、2020年代初頭までの成長率が下方修正。名目GDPが600兆円を超えるのは21年度。」と見込んでいるむね報告がなされた。

 資料の詳細を見ると、17年度の名目成長率は前回試算では2.0%と見込まれたが今回は1.7%となっているほか、22年度までの期間について成長率は前回の試算より1%以内の幅で下方修正されている。

 前回試算では20年度に名目GDPは600兆円を超えていたが、今回試算では成長実現ケース(最も順調に推移した想定)において21年度に3.0%成長を実現し607.2兆円となることで初めて600兆円を超すこととなった。

 今回のベースラインケース(最も低い経路)では、前回より0.1ポイント程低い1.7%程度の名目成長率とされており、この経路であった場合はさらに600兆円の目標達成は先送りされる。

 物価上昇率と金利動向については「物価上昇率が2%程度に達するのは21年度。そうした状況の下、20年度まで足元の金利が続くと想定。経済成長率や物価上昇率と整合的な形で試算した結果、金利は前回試算よりも低下する」とされている。

 資料を見ると、長期金利の動向は20年度の0%から27年度では、成長実現ケースでは3.5%へ、ベースラインケースでは2.1%へ上昇すると試算されている。

 長期金利の上昇は国債利払いに影響し財政に影響を与える。成長実現ケースでは成長率より金利が低く財政破綻の可能性はない。

 こうした試算を前提に中長期の財政の姿としては、「基礎的財政収支赤字は、19年度予算に歳出改革を一部反映したことから、成長実現ケースにおいて、25年度は0.3%(2.4兆円)まで改善」すると見込まれている。この試算によって黒字化の時期は27年度となり前回試算と同じになっている。(編集担当:久保田雄城)

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