味そっくりで肉汁も出る植物性人工肉バーガー、米FDAが重要成分の安全性認定
2018年7月29日 23:08
米Impossible Foodsは23日、植物性原料のみで牛肉そっくりの味や赤い肉汁を実現した同社の人工肉バーガー「Impossible Burger」の重要な成分について、米食品医薬品局(FDA)から安全性に問題ないとの通知を受け取ったことを発表した(プレスリリース、Ars Technicaの記事)。 Impossible Burgerで牛肉の味や肉汁を再現する主要成分は、根粒菌に感染したマメ科の植物の根で生成されるヘムタンパク質、大豆レグヘモグロビンだ。Impossible Foodsでは遺伝子操作したピキア酵母を用いて大豆レグヘモグロビンを製造している。この大豆レグヘモグロビンについて、Impossible Foodsでは一般に安全と認められるGRAS物質の認定を求めたが、2017年にFDAは安全性を認定するに足る十分な情報がないとコメントしていた。 そのため、Impossible Foodsは安全性を裏付ける1,000ページ以上の資料(PDF)を提出。FDAではImpossible Foodsの提出資料などを検討した結果、大豆レグヘモグロビンはImpossible Burgerで牛挽肉の風味を再現するための使用量や調理法といった条件ではGRASと認めることに問題ないとの結論に達したとのこと。 なお、米国ではFDAによるGRAS認定の有無にかかわらず、企業が自ら安全性を確認することで任意の添加物を使用できる。そのため、Impossible Burgerは既に米国と香港で3,000店舗近くで提供されている。これまでは比較的高級な店が中心だったが、4月には米ファーストフードチェーンWhite Castleでもニューヨークやシカゴなど140店舗で提供が始まり、手頃な値段で食べられるようになっている。それでもImpossible FoodsではFDAから安全性のお墨付きを得たかったようだ。 Impossible Burgerの味の決め手となるヘムタンパク質は、人類が必須栄養素として数十万年にわたって肉から摂取してきたヘムタンパク質と同じだが、大幅に少ない資源で供給が可能だという。牛を育てて肉をとり、挽肉を作るのと比べ、Impossible Burgerの製造に必要な水は75%少なく、排出される温室効果ガスは87%少なく、必要な土地は95%少ないとのことだ。