小田急、向ヶ丘遊園跡地を「人が集い楽しむ場」として再整備 方向性発表
2018年7月28日 10:46
小田急電鉄では、2002年3月に閉園した川崎市多摩区にある向ヶ丘遊園跡地の利用に関する方向性をまとめた。2004年11月に川崎市と締結した「向ヶ丘遊園跡地に関する基本合意書」も踏まえ、川崎市と共に、向ヶ丘遊園から引き継がれる豊かな自然環境を活かして「人が集い楽しむ場」としての機能を再整備。生田緑地の一部として「憩い」や「賑わい」を創出し、地域全体の価値向上への寄与を目指す方針だ。
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具体的には「自然、文化・芸術、教育」といった、すでに地域に存在する豊かな資産をつなぐハブ機能としての役割を果たす。また、身近なレジャーやちょっとした非日常を感じられる特別な空間や体験を創出することで、地域に新たな付加価値の提供を図るようにする。今後は川崎市等の関係機関と協議しながら、跡地利用計画の具体化を図っていく予定だ。
向ヶ丘遊園は、1927年の開園以来75年間という長期にわたり営業していたものの、2002年3月末に閉園。同園は、多摩丘陵の緑豊かな自然を生かした「花と緑の遊園地」として、川崎市民のみならず首都圏の人々に親しまれるとともに、自然豊かな「生田緑地」の一端を担っていた。
小田急としても同園の名前を冠した駅を急行・準急の停車駅として利用するも、閉園から15年以上が経過している現在、往時の面影も移ろい、駅名と現実の解離が甚だしくなっていると言わざるを得ない。
同園の閉園後、川崎市と2004年11月に締結した「向ヶ丘遊園跡地に関する基本合意書」では、環境共生を前提に、多摩丘陵の緑豊かな自然を次世代に残すため、同社は川崎市と一致協力して跡地の活用を推進するとしていた。跡地の利用に際して、同社は緑を保全し、良好なまちづくりに寄与する計画をたて、川崎市は緑の保全にあたり必要な支援を行うこととしている。
かつて首都圏のバラの名所として名高かかった往時のバラ園は、「生田緑地ばら苑」として活用されるなど、現在も敷地の一部は活用されているが、計画されている同園跡地の敷地面積は約21万8千平方メートルという広大なもの。「向ヶ丘遊園」というネームの持つ雰囲気に沿う憩いの場の創出に大いに期待したい。(記事:M_imai・記事一覧を見る)