NASA、太陽のコロナに接触する探査機を8月上旬に打ち上げ

2018年7月24日 21:53

 NASAは、太陽の大気であり、極めて高温なコロナに接触させるべく、「パーカーソーラープローブ」という無人探査機を、8月6日以降に打ち上げると20日に発表した。太陽の地表から600万キロメートルという、これまでの探査機よりも、太陽に近い距離まで接近することになっている。

【こちらも】NASA、太陽探査機に乗せる「名前」を募集中

 太陽の表面温度6,000度に対して、コロナの位置では100万度と非常に高温となっている。温度上昇は高度500キロメートルから始まり、高度2,000キロメートルを境に1万度から100万度に一気に上昇するが、理由は現在のところわかっていない。

 今回の探査機には最先端の耐熱シールドが取り付けられており、太陽に面する耐熱シールドの温度は1,400度まで加熱する。しかし、一方でシールドの反対側の宇宙船本体は摂氏30度に保てる構造になっている。

 今回のミッションの1つは、太陽から離れた場所で高温になる謎を究明するということがあげられている。

 また探査機には、遠隔地及びコロナ付近の両方で太陽を観測する機器が用意されているという。これにより、コロナから出ている太陽風が、超音速に加速する理由も解明するとしている。謎の解明に、両方の観測データの変化を利用することになっているのだ。

 探査機自体は、小型車ほどで比較的小さいにも関わらず、打ち上げには「デルタIVヘビー」という世界で最も強力なロケットの1つを使用する。今回のミッションにはそれくらいのエネルギーが必要になる。

 打ち上げの軌道を設計した担当者は「太陽に到達するためには、火星に着くのに必要なエネルギーの55倍を必要とする。夏の間、地球と太陽系内の他の惑星は、探査機が太陽の近くに近づくため、最も有利な位置にある」と語っている。

 太陽について学ぶことで、「銀河系、宇宙、さらには生命の始まりに至るまで、他のすべての星についてももっと学ぶことができる」と、NASA本部の科学ミッション・ディレクターは述べている。

関連記事

最新記事