NVIDIAら、VR業界標準「VirtualLink規格」発表 USB-Cケーブル1本で接続

2018年7月22日 12:05

 NVIDIA、Oculus、Valve、AMD、Microsoftが参画・推進する新しい業界コンソーシアムは17日(米国時間)、VirtualLink規格を発表した。本規格は、単一の高帯域USB-Cコネクタのみで、次世代VR(仮想現実)ヘッドセットをPCやその他のデバイスへ接続を可能にするオープンな業界標準だ。

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 VRは様々な技術を融合して進化していくのであろう。そこには、仮想空間を創り出すPCなどのコンピュータとVRヘッドセットをつなぐ仕組みが必要だ。単一の広帯域USBのタイプCコネクタで、信号のみならず電源をも供給する規格を制定し、それをオープンにした。

 主導したのは、人工知能(AI)分野で頭角を現したNVIDIAであり、AIの応用はVRにも及ぶ。メンバーのOculusはVRヘッドセットメーカであり、Valveはゲーム制作・配信メーカだ。AMDは大手半導体メーカであり、USB-Cコネクタの設計・試作を行ったと思われる。Microsoftの狙いはPCにおけるウィンドウズの新たな付加価値と位置付けているのであろう。VR関連の企業がこのオープンな規格に賛同するかは、ここ数年で決まるのであろう。

●VirtualLink規格の特長

 世界中で活用されているUSB規格の中のUSB-Cのオルタネートモードを用いて、膨大なデータの転送と電源の供給を実現。新たな規格を提案するのではないため、その普及度合いは、短期間で決まると思われる。つまり、新たな規格を仕掛けているのではなく、VRの業界標準を、現USB規格で統一して、VR市場をより大きく成長させようと考えているのであろう。

 VR設定の簡素化やセットアップスピードの改善につながる。薄型で軽量のノートブックPCなどのポートが少ない小型のデバイスでも没入型のVR体験を可能にする意図もあるようだ。

●VR接続(NVIDIAら、VirtualLink規格)のテクノロジー

 次世代のVR体験の実現のためには、ヘッドセットは、これまで以上のディスプレイ解像度を提供する必要がある。データ転送のトラッキングや拡張現実向けの高帯域幅カメラの搭載はその一例だ。VirtualLink規格は、VRヘッドセットとの接続に、将来的なニーズの変化に合わせて拡張可能な4つの高速HBR3 DisplayPortレーンをサポート。加えて、高解像度カメラやセンサー用USB3.1データチャネルをサポートし、最大27ワットの電力を提供できる。

 AI市場で頭角を現し、自動運転では確たる地位を築いた半導体メーカのNVIDIA。AI向けの半導体メーカでありながら、ソフトウェアエンジニアがハードウェアエンジニアよりも多いことで有名だ。AI向けの半導体を販売するにはソフトウェア技術の知識が重要と考えた。VR市場の拡大に向けたNVIDIAの思惑は、今後明らかになっていくであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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