セクハラに罰則なし、法整備検討も
2018年7月19日 10:49
公務員によるセクシャルハラスメント、いわゆるセクハラが社会問題化して以降、セクハラに罰則を設けようという動きが活発化してきた。野田聖子総務相はセクハラの再発防止の意見交換会を開いたり、出演したニュース番組で罰則規定を盛り込む法整備の検討を示唆したりした。
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現在の日本ではセクハラに対する罰則規定は存在しない。男女雇用機会均等法によってセクハラへの対策、防止策の検討を事業者に義務付けてはいるが、これはあくまで防止のためであって、実際にセクハラが起こった後の対策は実質ないに等しい。加えて公務員に適用される人事院規則でもセクハラは禁止事項ではなく、注意しなければならないという規定だ。こうしたセクハラに対するあいまいな態度がセクハラを助長しているとして、セクハラの明確な定義づけや罰則規定を設けるべきとの声が強まっているのだ。
世界各国のセクハラに対する対応を考慮すると、日本がこの点でいかに遅れているかがわかる。フランスではセクハラが明確に定義されていることに加え、2年以下の拘禁刑や3万ユーロ以下の罰金が科される。男性優位として世界的に有名なサウジアラビアでさえ、セクハラに対して禁固刑や罰金刑を設けている。日本国内であっても外資系企業の中にはセクハラ行為が確認された場合、懲戒解雇などの厳しい対応を取っているところも少なくない。一方でアメリカは日本と同様セクハラに対する明確な罰則規定はなくセクハラの温床ともいわれていたが、近年セクハラを告発する「Me Too」運動などによりセクハラに対する見方に変化が生まれてきた。それにもかかわらず、日本国内ではセクハラに対して声を上げる女性も、女性たちを援護する機運も生まれていないのが現状だ。
企業としてはセクハラに対する罰則規定の法整備がなされなくても、セクハラに対する罰則規定を設ける必要があるだろう。コンプライアンスの問題があることに加え、万が一セクハラ問題が大きくなった場合、企業イメージに与える影響は甚大だ。国として法整備を進める努力を払うことはもちろん、企業側の懸命な努力が求められる。(編集担当:久保田雄城)