医師が選ぶ「地域医療に貢献している製薬会社」、トップは武田薬品
2018年7月18日 19:57
医療には様々な方法があるが経済合理性からいえば投薬治療が最も効率的な方法であろう。特に日本のように国民皆保険制度でかつ高齢化社会の場合、限られた医療スタッフで大量の患者を短時間で処理しなければならない。当然、投薬治療が医療の中心となる。
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とはいえ、投薬治療だけでは十分な治療効果は期待できないであろう。様々な治療法を組み合わせる中ではじめて投薬の十分な効果が期待できる。こうした観点からも製薬企業の情報産業としての機能も重要だ。近年、医療費膨張を抑制する狙いで政府は地域医療の充実を図っている。この取り組みの中でも製薬企業に期待される機能は様々だ。
医療マーケティングのアンテリオが「地域医療における製薬企業の貢献度」や「製薬企業に期待すること」に関する調査を実施し、その集計結果を公表している。この調査は今年2月に全国の医師1万6000人を対象として製薬企業の医薬情報提供活動や取り組みを通じて感じている医師達の認識について調査し、6月に公表されたものだ。
「地域医療に対して貢献していると思う製薬企業」について複数回答で答えてもらったところ、1位は武田薬品工業、2位は第一三共、3位が大塚製薬、4位はアステラス製薬、5位はファイザー、6位がエーザイ、7位が田辺三菱製薬、8位が小野薬品工業、9位がMSD、10位が塩野義製薬という順であった。このトップ10のうち内資系企業が8社含まれている。
この結果についてレポートでは「国内での長い活動キャリアや生活習慣病や認知症といった国の重点疾患における医薬品開発、市民に向けた啓発活動など、実際の医療現場における具体的な取り組みが総合的に評価された結果」と評している。
「地域医療に関して製薬企業に期待すること」については、「医療従事者に向けた勉強会の実施」が最も多く、4割に近い39.4%の医師が挙げている。次いで「地域における他施設の動向に関する情報提供」が34.8%、「医師会や他施設とタイアップした研究会の実施」が34.5%、「地域における患者の特徴に関する情報提供」30.2%が3割以上の医師が挙げており多くなっている。
この結果を前提にレポートでは「地域完結型の医療提供体制を整えるためには、医療従事者同士の連携が不可欠であり、情報収集やネットワーキングの機会を求める医師が非常に多い」とまとめている。医師達は地域内医療スタッフ達の連携機能の核となってくれるよう製薬企業に期待しているようだ。(編集担当:久保田雄城)