過労死等の労災申請 脳・心臓疾患、精神障害ともに増加傾向

2018年7月17日 09:59

 厚生労働省は6日、平成29年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。ここでの過労死等とは、過労死防止法で定められた「業務における過重な負荷による脳・心臓疾患や精神障害とこれを原因とする死亡・自殺」をいう。

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 2017年度中の脳・心臓疾患による請求件数は840件で、前年度比15件の増加となった。請求件数は14年の763件より一貫して増加傾向で推移している。支給決定件数は253件で前年度に比べ7件の減少となっている。認定率は38.1%で前年度と比べ横ばいで推移している。支給決定された死亡事案は前年度に比べ15件減少し92件となった。

 産業別にみると、請求件数では「運輸業、郵便業」の188件が最も多く、次いで「卸売業、小売業」の115件、「建設業」112件の順となっている。支給決定件数では「運輸業、郵便業」が99件で最多となっており、「卸売業、小売業」が35件、「宿泊業、飲食サービス業」28件の順になっている。

 職種別にみると、請求件数では「輸送・機械運転従事者」が169件、「専門的・技術的職業従事者」と「販売従事者」の98件と続く。支給決定件数では「輸送・機械運転従事者」89件、「サービス職業従事者」36件、「販売従事者」29件となっている。

 精神障害による請求は1732件で前年度に比べ146件の大幅な増加になっている。このうち未遂を含む自殺件数は前年度に比べ23件増の221件である。支給決定件数は506件で前年度と比べ8件の増加で、認定率は32.8%となり前年度に比べ4ポイント減少している。このうち未遂を含む自殺の件数は前年度に比べ14件増加し98件である。

 産業別に見ると、請求件数では「医療,福祉」が313件と最も多く、次いで「製造業」308件、「卸売業,小売業」232件の順となっている。支給決定件数では「製造業」87件、「医療,福祉」82件、「卸売業,小売業」65件の順となっている。

 職種別にみると、請求件数では「専門的・技術的職業従事者」が429件、「事務従事者」が329件、「販売従事者」が225件の順となっている。支給決定件数では「専門的・技術的職業従事者」の130件が最多、次いで「サービス職業従事者」の70件、「事務従事者」66件と続く。

 出来事別に支給決定件数をみると、「嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が88件で最も多く、次いで「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」64件の順となっている。(編集担当:久保田雄城)

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