探査機「はやぶさ2」により、小惑星「リュウグウ」の形状が次々と明らかに
2018年7月15日 16:25
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日に、小惑星探査機「はやぶさ2」から撮影した小惑星「リュウグウ」の連続写真を公開した。ONC-Tと呼ばれる広角航法望遠カメラを使用し、リュウグウを撮影した。その結果、コマ状の小惑星が回転していることが初めて明らかになった。
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6月23日にリュウグウから約40キロメートルの距離まで接近したはやぶさ2は、小惑星に対し約10度刻みで画像を撮影している。これらの画像は、リュウグウ表面のクレーターの起伏や岩の塊まではっきりと映し出す。
広角航法カメラ(ONC)を搭載したはやぶさ2の目的は、小惑星の物質の遷移と構造的な成り立ちの解明にあるという。多色フィルターを取りつけられた望遠レンズ1台と広角レンズ2台の、計3台からONCは構成される。ONCは、天体の形状や分光を観測できる。今回リュウグウの撮影に成功したのは、望遠カメラ(ONC-T)によるものだ。
ONCを搭載したはやぶさ2は、2014年12月3日に種子島宇宙センターから打ち上げられた。リュウグウの分光観測に必要なデータを収集するために、2015年11月26日にONCによって地球と月の撮影がおこなわれた。これらのデータは、小惑星の全球形状モデルや局所地形モデルを精密に作成することや、小惑星全体の回転運動の観測に使用されるという。
ONC-Tで撮影されたコマ状のリュウグウの連続画像から、神戸大学と会津大学がそれぞれコンピュータグラフィックスで立体形状モデルを作成した。2つの立体モデルを比較することで、リュウグウの形状を計測する精度を把握できるという。赤と青の2色からなる3Dメガネを装着すると立体的に目視可能な、リュウグウの連続撮影画像をJAXAは同時に公開している。
JAXAは、今後の撮影により解像度の高い画像が得られ、リュウグウの詳細な形状をモデル化できるとしている。
はやぶさ2は今後、詳細な探索をおこなうため約1年半リュウグウに滞在し、2020年に帰還する予定だ。(記事:角野未智・記事一覧を見る)