幻のマヨラナ粒子の存在を証明!エラーのない量子コンピューターへ一歩前進
2018年7月15日 10:04
80年以上前に存在は予言されていたものの、それを証明することができなかったマヨラナ粒子の存在が、世界で初めて証明された。
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それを証明したのは、京都大学および東京大学、東京工業大学の合同研究グループ。
研究グループは、蜂の巣状の平面構造をもつ磁性絶縁体の塩化ルテニウム(α-RuCl3)において熱ホール効果が量子力学で規定される普遍的な値をとることを発見し「マヨラナ粒子」を実証することができた。
マヨラナ粒子とは、本来なら粒子と反粒子は別の存在となるものだが、粒子と反粒子が同一という得意な性質もった中性のフェルミナ粒子のことである。1937年、イタリアの物理学者エットーレ・マヨラナが理論を発表し、マヨラナ粒子の存在を予言していたが、80年以上も間、その存在が証明されていなかったのである。
マヨラナ粒子は量子コンピューターの分野において、重要なキーとなる粒子として位置づけされている。
量子コンピューターは従来のコンピューターよりはるかに高性能な能力を持つと推測されているが、動かすためにはエラーの発生率を限りなく低くする必要がある。しかし、既存の量子コンピューター設計では低いエラーの発生率を実現するのは難しいのである。
そこで提案されたのが従来とは異なる方法、「トポロジー(位相幾何学)」と呼ばれる連続的に変形させても保たれる性質によって保護された量子状態のビットで構成された「トポロジカル量子コンピューター」である。
マヨラナ粒子を利用すれば、環境ノイズに対して強く、量子情報を安定に保つことができるため、エラーの発生を抑制し「トポロジカル量子コンピューター」を実現することが可能であるとされている。アメリカのMicrosoft Research社も、マヨナラ粒子によるトポロジカル量子ビットの研究を行なっている。
今回の研究によって、マヨナラ粒による量子化現象が高い温度で実現することも発見された。
そのため研究チームは『マヨナラ粒子の制御法の開発を行うことで、高温でも動作可能なトポロジカル量子コンピューターへの応用が期待できる』とHPに掲載している。(記事:和田光生・記事一覧を見る)