医師の残業上限規制、「特に困らない」61% 「医療ニーズに影響」は26%

2018年7月9日 11:09

 政府は現在「医師の働き方改革に関する検討会」において、働き方改革に関連する規制の具体的な在り方や労働時間短縮の方策について検討を重ねている。働き方改革関連法案の中には時間外労働の上限規制が盛り込まれているが、医師に関しては「応召義務」など職務の特殊性から5年の適応猶予が適用されることとなった。

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 医師人材総合サービスのエムステージが自社の運営する「Dr.なび」の会員である医師101人を対象に「医師の働き方改革」に関する意見と労働環境の現状についてアンケート調査を実施し、結果を公表した。

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の認知度については、「よく知っている」が12%、「聞いたことはある」が58%、「知らない」が30%となっており、7割の医師が存在は認知しているものの約6割の医師は詳細については知らないようだ。

 「医師の働き方改革は必要か」という問いに対しては、「非常に必要だ」が20%、「必要ではある」が52%、「あまり必要ではない」13%、「全く必要ではない」が15%となっており、7割超えの医師が程度の差はあれ「必要だ」と回答している。

 「医師の働き方改革」に対する期待については、「とても期待している」2%、「まあ期待している」19%、「それほど期待していない」41%、「全く期待していない」20%、「内容を知らないので分からない」18%となっており、「期待している」と回答した医師は2割程度にとどまった。

 残業に関する意識については、「残業せずに帰宅し、プライベートの時間をきちんと確保したい」43%、「残業はしたくないが、患者の状況などで難しく我慢している」が38%、「残業してでも仕事に没頭したい」が19%となっており、8割超えの医師が残業を好ましいものとは思っていないようだ。

 残業上限規制については、「十分な診療ができなくなり、医療ニーズを満たせない」が26%、「あつかう症例数が減りスキルアップができない」3%、「残業代が減り、収入が減る」10%、「特に困ることはない」61%となっており、医療ニーズを満たせなくなると指摘する医師が4分の1ほど存在する。

 高齢化の中で患者数の増加が見込まれる中、残業規制等の働き方改革によって十分な対応ができなくなるのではないかと危惧する医師も少なからずいるようだ。(編集担当:久保田雄城)

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