男性にテストステロンを投与、高級ブランドへの嗜好が増す 米で研究
2018年7月8日 17:02
男性にテストステロン(男性ホルモン)を投与することで、より高いステータスの(高級な)ブランドを好む傾向が増すという研究結果が発表された(論文、The Vergeの記事)。 被験者は18歳~55歳の男性243名。217名は南カリフォルニアの学生で、学生以外は周辺都市の住民となっている。実験では当日の朝、125名にテストステロンを含むゲル剤、118名にプラセボのゲル剤を割り当てて肩や胸、上腕に塗布するよう指示し、午後からブランドを選択する2つのタスクを実行している。また、ホルモンの変動を調べるためにゲル剤塗布前と各タスク実行前、実験終了時に唾液のサンプルを採取しており、子宮内での性ホルモン曝露量と相関する手指の2D:4D比測定やPANASによる気分評価も行っている。 タスク1は7つのアパレルブランド(Giorgio Armani、Ralph Lauren、Calvin Klein、Lacoste、North Face、Old Navy、Levi's)からステータスの高いブランドと低いブランドの組み合わせを5組提示し、どちらを好むかを回答するものだ。いずれも品質差はステータスの差よりも小さくなるよう組み合わせられている。被験者に意図を読み取られないよう、Gap対H&Mのようにステータスの高くないブランド同士の組み合わせも含めている。ブランドの組み合わせは、事前に実施した学生184名による15ブランドの評価に基づくものだという。 タスク2は6種類の物品について、ステータスまたは実力、品質をそれぞれ特色に挙げる3種の商品紹介文のうち、どちらが好ましいかを選択するものだ。いずれのタスクでもテストステロンを投与された被験者群ではステータスの高いものを選ぶ傾向が強く、逆にプラセボ群は選ばない傾向が強かったとのこと。なお、テストステロン投与による予想外のホルモンへの影響や、気分への影響はみられなかったそうだ。また、被験者による各ブランドへの評価にもテストステロン投与の有無による影響はなかったとのことだ。 テストステロンはオスの生殖機能や社会的行動に関連付けられており、ヒト以外の種では群れの中での序列に従ってテストステロンレベルが変動し、ヒトの場合は競争中や魅力的な異性がいる場合などに上昇する。論文では今回の実験結果により、男性の経済的消費を通じたステータス向上への意欲をテストステロンが高めると結論付けている。