労働相談、10年連続100万超 「いじめ・嫌がらせ」がトップ 厚労省が集計
2018年7月2日 08:49
厚生労働省が「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」の集計結果を公表した。「個別労働紛争解決制度」とは個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、裁判に至る前に早期解決を図るために設けられた制度で、「総合労働相談」、労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つのステップからなる。
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報告書によれば、総合労働相談は前年比2.3%の減少で110万4758件、あっせん申請の件数は同2.0%の減少で25万3005件といずれも前年度と比べ減少したものの、助言・指導申出の件数は前年比で2.3%増加し9185件となっている。総合労働相談件数は10年連続で100万件を超え高止まりの状態が続いている。
相談内容についてみると、民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全てにおいて「いじめ・嫌がらせ」がトップとなっている。
詳細を見ると、民事上の個別労働紛争の相談件数では、「いじめ・嫌がらせ」が7万2067件で前年比1.6%の増加となっており6年連続のトップで、「自己都合退職」が3万8954件、「解雇」が3万3269件となっている。助言・指導の申出では、「いじめ・嫌がらせ」が前年比1.9%増の2249件と5年連続のトップで、「解雇」が990件、「自己都合退職」が864件となっている。また、あっせんの申請でも「いじめ・嫌がらせ」が前年比6.9%の1529件で4年連続のトップとなっており、「解雇」が1181件、「雇止め」が545件という順になっている。
民事上の個別労働争議25万3005件の相談者の内訳は、労働者が20万9626件で全体の82.9%、事業主は2万4847件で構成比は9.8%、その他が1万8532件で7.3%となっている。就業形態別に見ると、正社員の相談が9万5032件で構成比37.6%、短時間労働者が3万5971件で同14.2%、有期雇用労働者が3万754件で同12.2%、派遣労働者が1万2448件で同4.9%、その他・不明が7万8800件で同31.1%となっている。
過去10年の推移を見ると「いじめ・嫌がらせ」による相談・申請件数が上昇傾向を示しており、他は減少か横ばいである。この背景にはパワーハラスメントと言う概念の浸透があると推測できる。実際、助言・指導の事例として、日常的に人格を否定するような暴言を派遣先から受けた派遣社員の相談に対し、パワハラとして会社が責任を問われる可能性を示し改善の取り組みが行われた指導のケースが掲載されている。(編集担当:久保田雄城)