ゲーム依存は「疾患」 WHOが認定

2018年7月2日 08:50

 世界保健機構(WHO)は6月18日、ゲームのやり過ぎにより日常生活に支障をきたすゲーム依存症を「ゲーム障害」という疾患と認定した。ゲーム依存症は、日本を含む世界各国が死因や患者の統計に用いる病気やけがを分類した改訂版国際疾病分類の最終案に明記された。今後、ゲーム依存症の予防、治療が進むことが期待される。

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 厚生労働省の調査によれば、国内においてゲームを含むネット依存症の恐れがあるとされるのは成人約421万人、中高生は約52万人に上る。問題となる行動はゲームをするという行為ではない。むしろゲームをする時間を制御できないことが問題だ。特にゲームを優先するあまり食事を取らなかったり睡眠時間を削ったりし、日常生活に支障をきたしながらゲームを優先する状態が12ヶ月以上見られた場合、ゲーム障害となる。重度の症状が表れている場合にはより短期での診断が可能だ。

 国内でのゲーム障害を取り巻く環境は深刻だ。飲酒や喫煙などとは異なり、ゲーム障害を抱えると推測される人のうち、中高生の割合は非常に高い。現代ではスマートフォンなどを通してゲームに触れる機会は多く、暴力的・性的な言葉が交わされることも珍しくはない。健全なコミュニケーション力や対人関係を築かなければならない時期に、ゲーム障害による不登校やうつ病などで多くの損失を被る青少年たちもいる。今回のゲーム障害の疾患認定により、ゲーム障害が治療の必要な病気であるという理解が徐々に浸透していくことが期待される。

 こうした中でも国内でゲーム障害の治療を行うのは簡単ではない。現在国内で依存症の相談ができる医療機関はわずかに25ヶ所程度しかなく、国のゲーム障害に対する予防策・治療も後手に回っている状態だ。ゲーム障害は本人の意志の弱さが原因だという意見も少なくない。世界保健機構の疾患認定をきっかけとして、成人はもちろん、青少年たちをゲーム障害から救うため、依存症になるメカニズムの解明や親を含む周りの大人たちの意識改革などに力を入れるべきだろう。(編集担当:久保田雄城)

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