東芝、次世代EV電池開発でブラジル企業と提携

2018年7月2日 08:24

 電気自動車(EV)には様々な部品が必要不可欠だが、その中でも特に重要な部品とされているのがバッテリーだろう。従来の自動車がガソリンを燃料として動くのに対して、電気自動車は電気を動力とするため、その電気を効率的に蓄え長時間運用するためには高性能な電池の開発が欠かせない。そのため、現在多くの企業が次世代の電池開発を目標に掲げているが、東芝<6502>もそのひとつだ。川崎市に本社を置く東芝の子会社のひとつ「東芝インフラシステムズ」は、電気自動車向けの次世代電池の開発を目的としてブラジルの鉱山会社と提携すると発表した。次世代の技術開発には様々な方面での連携が欠かせないが、この提携は新たなアプローチとして注目を集めている。

【こちらも】EV用次世代電池、産官学共同で開発 トヨタやパナソニック、東工大など

 過去に東芝は、高い充電性能と運用効率をもったリチウムイオン電池「SCiB」を実用化しており、電気自動車にも導入実績がある。今回ブラジル企業と提携して開発を進める予定の電池はニオブチタン系酸化物を利用したもので、従来の電池と比較した場合のエネルギー密度を2倍に増やすことができるというもの。ニオブチタンは希少金属であり、ブラジルの鉱山会社と提携をすることでその希少金属を手に入れ次世代の電池開発に活用したい狙いだ。これまでの電池と異なり充電時間の短縮に加えて蓄電容量も増えるということで電気自動車への活用としても最適なものとして期待されている。

 今回東芝が開発している電池のもうひとつの特徴は、長い寿命を持っているという点にある。 電気自動車の電池に限ったことではないが、どんな電池であっても寿命というものがあり、いつまでも新品同様の性能を維持できるわけではない。充電や放電を繰り返せば蓄電できる容量は少なくなっていき、充電しなければならないサイクルも上がってくる。その点、今回東芝が開発予定の次世代電池では充電や放電を5000回繰り返しても新品の状態と比較しておよそ90%もの蓄電容量が維持できるという。

 長寿命で急速充電にも対応しているという電池の性能は電気自動車にとってまさに理想的なものといえるだろう。東芝では2020年までにこの次世代電池の実用化と量産を目指している。現在、電気自動車の分野においては日本は海外から少し遅れた位置にいるとされているが、次世代の電池の開発が成功すれば再び主導権を握ることも可能だ。また、電気自動車以外の分野でも転用可能な技術だけにこの取組は様々な方面からも注目を集めている。(編集担当:久保田雄城)

関連記事

最新記事