史上初めて観測された恒星間天体、小惑星ではなく彗星だった
2018年7月2日 08:09
史上初めて観測された恒星間天体'Oumuamua(オウ ムア ムア)が小惑星ではなく彗星だという研究結果が発表された(Nature Research Astronomy Communityの記事、University of Hawai'i Newsの記事、HubbleSite Newsの記事、ESAのニュース記事、論文アブストラクト)。 'Oumuamuaは発見当初に彗星(C/2017 U1)と区分されたが、彗星の特徴であるガスや塵の噴出が確認されなかったため小惑星(A/2017 U1)に区分が変更された。さらなる観測で離心率の高い双曲線軌道を進んでいることが確認され、太陽系外から飛来した恒星間天体(1I/2017 U1)としてIAUに承認されている。 しかし、太陽系から離れていく'Oumuamuaを最後までとらえていたハブル宇宙望遠鏡による軌道データを精査したところ、太陽や惑星の重力から計算した軌道とはわずかに異なることが判明する。研究者らは分析の結果、太陽からの放射圧や太陽風などの影響を排除し、軌道に影響を与えているのは'Oumuamuaが放出する天体望遠鏡では観測できない微量のガス/塵であるとの結論に達したそうだ。 太陽系では惑星の形成時に小惑星(岩石)よりも彗星(氷)の方が多く生み出されたと考えられており、太陽系外から小惑星が飛来する可能性も彗星より低いとみられている。また、彗星は尾を引いて明るく輝くことから、小惑星よりも発見される可能性が高い。 奇妙な形の'Oumuamuaは彗星としては小さく、おそらく組成も異なるが、太陽系の彗星と同様に表面の色は赤く、ガスを発している。そのため、我々が発見したのは恒星間彗星であり、ありえないほど低い確率の中から幸運にも恒星間小惑星を発見したのではないとのことだ。