NEDO、次世代AIの先導研究5テーマを採択 近未来の社会実装への第一歩
2018年6月29日 20:51
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は28日、次世代人工知能(AI)技術の社会実装を目指す研究開発5テーマを採択したと発表した。
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2017年3月、政府は「人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ」をまとめた。生産性、健康/医療・介護、空間の移動の3分野が、近未来での実装が求められるAI技術だ。
その3分野での課題の解決に資する次世代AI技術の社会実装を目指すため、研究開発5テーマを採択。先導研究を開始する。
●「人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ」とは
2016年4月、第5回「未来投資に向けた官民対話」における安倍首相の指示で、AIの研究開発・産業化の司令塔として「人工知能技術戦略会議」を政府に設置。同会議は、2017年3月、「人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ」と、それを実現するための「人工知能技術戦略」を策定。
ロードマップでは、AIは段階的に進化し3つのフェーズを経る。フェーズ1は、各個別領域においてデータ駆動型のAI活用が進む。現在進行形の利用形態だ。フェーズ2は、2020年から2025~2030年の期間であり、各個別領域の枠を超えたAIの利用だ。完全自動運転などの産業が拡大する。その後のフェーズ3は、各領域が複合的につながり合うエコシステムの実現だ。AIやIoTなど関連技術が個別領域の枠を超えて融合し、無駄ゼロな社会、健康長寿産業大国、仮想のサイバー空間と現実のフィジカル空間の利用。新たな成長産業を生む。
ロードマップを実現する採択5テーマは、日本が抱える社会課題解決への貢献と、グローバルに通用するAI技術の確立を目指す。
●採択5テーマ
採択された5つのテーマは、何れも日本の国際競争力強化に欠かせないものであろう。
第1は、健康長寿産業のための新薬開発へのAI活用だ。論文・臨床試験結果・専門家の知見などをAI化して、新薬開発を効率化・加速する。委託先は京大だ。
第2は、AIの品質に関する研究だ。機械学習AIは人間より優れた学習能力で認識能力や判断能力を示すことがある今日、課題は何故その認識や判断をしたのかが、人間が理解できないことである。この機械学習AIの品質保証に関する研究開発を産業技術総合研究所(AIST)が請け負う。
第3は、ドローンAI技術の研究だ。サイバー・フィジカル研究拠点間の連携により、サイバー空間でフィジカル空間のドローンを制御し、人間では検査が及ばない領域に革新的なドローンを創造する。東大などの研究機関が連携する構想だ。
第4は、AIを活用した交通信号制御の高度化に関する研究開発だ。信号制御なしでは、AIの高度化は望めない。東大やNECなど9研究機関が研究を推進する。
最後は、日本の強みである「ものづくり」を、より強固にする施策だ。生産工程の見える化や生産価値向上において、AIを活用した知識構造化の研究という。東大、AIST、三菱電機の連携で研究を加速する。(記事:小池豊・記事一覧を見る)