深刻化する空き家率 空き家数は過去最高 供給過多に高齢化も要因

2018年6月29日 09:27

 日本の空き家率の上昇が止まらない。総務省が2013年に行った住宅・土地統計調査では国内の空き家数は約820万戸であり、過去最高となった。全住宅に占める空き家の割合も過去最高の13.5パーセントだ。これは08年に行われた調査の時よりも空き家が約63万戸増加したことを示している。住宅・土地統計調査は5年ごとに行われるため、18年の調査ではさらに空き家数、空き家率共に上昇している可能性がある。

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 深刻化する空き家率の要因はいくつかあるが、その一つが供給過多だ。国土交通省が発表した17年度新設住宅着工戸数は94万6396戸で3年ぶりに減少した。しかし総世帯数の減少はそれを上回るペースであり、住宅が増える一方で空き家も増えるという状況になっている。さらに高齢化も空き家率に拍車をかけている。住宅総数約6,063万戸のうち空き家は820万戸だが、残りの約5,243万戸のうち子や親族が同居していない65歳以上の単身者もしくは夫婦が住んでいる住宅は約1,137万戸に上る。このうち高齢者世帯の持ち家は約873万戸だ。現在では核家族化の進行により、親と離れて自宅を持つ人も多く、住宅を相続しても空き家になってしまうというケースは多い。つまり今はまだ空き家ではないものの、これから空き家になる可能性があるいわば「空き家予備軍」が国内で急速に増えているということだ。日本の住宅は寿命が短く、アメリカやイギリスの半分以下という調査もある。

 空き家率の上昇は軽視すべき問題ではない。空き家が多くなれば治安の悪化や災害時の被害拡大など深刻な問題を引き起こすこともある。民間一体となった解決策が必要となるだろう。自治体によっては倒壊の危険性がある家屋の除去などを条例で定めているところもあるが、空き家の減少効果は限定的であり、根本的な解決とはなっていない。古い住宅が立ち並ぶドイツやアメリカなどでは住宅の改善命令や修繕命令によって所有者に改善を促すほか、補助金制度などを設けて空き家を減らす努力がなされている。33年には空き家率が30パーセントを超えるという調査もある中、空き家を減らすための中古住宅市場の拡大、また欧米に倣った制度の整備などの対策が急務だ。(編集担当:久保田雄城)

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