東京海上、生損保一体のビジネスモデルで持続的利益成長確保を目指す
2018年6月28日 16:48
東京海上ホールディングスは19日、東南アジアの損害保険事業の拡大を目指してタイとインドネシアの損害保険現地法人を約428億円で、オーストラリアのIAG社から買収すると発表した。
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海外保険事業の事業別利益に占める新興国拠点の割合がまだ1割弱であり、今後中長期的に高い成長率が見込まれる新興国において、M&Aなどにより事業の規模拡大を目指すと、中期計画ではしている。
東京海上は1879年に設立された日本初の保険会社「東京海上保険会社」に始まり、日本の近代化に重要な役割を果たした海運・貿易業に欠かせない海上保険会社として発展してきた。
2002年には日動火災との共同持ち株会社「株式会社ミレアホールディングス」として東京証券取引所に上場し、2008年に現社名に変更。現在では世界に展開する子会社245社および関連会社32社を擁し、国内損害保険事業、国内生命保険事業、海外保険事業、金融・一般事業を幅広く展開する東京海上グループの動きを見ていこう。
■前期(2018年3月期)実績と今期(2019年3月期)見通し
前期の売上高にあたる損害保険の正味保険料収入は3兆5,647億円(前年比102%)で、生命保険料は9,530億円(同105%)であった。
経常利益は前年よりも427億円減の3,449億円(同89%)、純利益は103億円増の2,841億円(同104%)であった。
経常利益減の主な要因としては欧州や米国、再保険において大口自然災害や大口事故が発生し、海外保険事業で479億円の減益が発生したことによるものであり、純利益は国内外で自然災害により発生保険金が増加したため減益があったものの、米国税制改革の一時的な影響578億円のおかげで増益となった。
今期正味保険料収入は3兆5,000億円(同99%)で生命保険料は9,500億円(同100%)を、経常利益は4,500億円(同131%)、純利益は3,200億円(同113%)を計画している。
■中期計画により持続的利益成長確保
今期から3カ年の中期計画で、生損保一体のビジネスモデルにより、年平均3~7%の持続的利益成長確保を目指して下記の施策を推進する。
1.ポートフォリオの更なる分散
・地域と事業の分散: 内部成長とM&Aを活用してアジア新興国と先進国の強化。
・リスクコントロール: 取引先との関係で所持していた政策株式の削減と金利リスク、自然災害リスクの適切なコントロール。
・生損保一体ビジネス: 生損保一体でAIを活用して個人のニーズに対応する超保険(究極の個人向け保険)を開発、推進。
2.事業構造改革
・革新的商品とサービス: 自動走行システム、サイバーリスク、シェアリングビジネスに対応した保険と人口減少、自然災害リスクに対応する保険の開発。
・販売チャネルの変革と強化: モバイルエージェントによる顧客接点強化。
・生産性の向上: ブロックチェーン活用による事務効率化とAIによる紹介応答、損害査定。
3.グループ一体経営の強化
・シナジーの更なる発揮: グループ横断でのシナジー創出と共同での資産運用収益の拡大。
・グローバルな人材の活用と育成: グループ横断での人材育成と人材活用。
デジタル分野を強化し、保険ビジネスの変革に挑む東京海上の動きから目が離せない。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)