日本サポーターが広げた「ゴミ拾いの輪」の効果

2018年6月25日 21:43

■大きなトラブルが起きていない

 ロシアで熱戦を繰り広げているサッカーのワールドカップ。選手たちが脚光を浴びるのは当たり前だが、今大会はサポーターがクローズアップされることも多い。ワールドカップは国の威信をかけた戦いとなるためサポーターも過激になる。特に負けたチームや勝てそうなのに引き分けに終わってしまうチームのサポーターのフラストレーションは溜り、外野でいざこざを起こすということが多々ある。

 しかし今大会はこれまでサポーターが大きなトラブルを起こすということはまだない。上位国が順当に勝ち進む大会ならまだしも、今大会は日本がコロンビアに勝利し、メキシコがドイツに勝利した。もしくはアルゼンチンが2戦終わって1分1敗と大苦戦に立たされ、FIFAランキングで8位のポーランドが2戦目にしてグループリーグ敗退が決まった。

 しいて言えば、日本戦で開始3分にて退場処分となったコロンビアのサンチェス選手に対し、殺害を示唆する書き込みがSNSであったが、現地ではサポーター同士の派手な騒動は報道されていない。

■試合がコントロールされている

 ここまでサポーターがおとなしいことには、2つの理由が考えられる。

 1つはVARを導入したことだ。主にPK判定の際にレフェリーがビデオ判定を見ることができるシステムだが、これを導入したことによりサポーターが判定に対し納得することが多くなった。

 レフェリーも自信を持ってPKを宣告することができ、迷いなく判定できるというのは精神的にも楽にゲームコントロールができるはずだ。納得いかない判定により暴動が起きることが減ったのは大きい。

■サポーターのマナー

 そしてもう一つはサポーターのマナー向上だ。日本サポーター発祥の「ゴミ拾い」は波及しつつある。実際に日本対セネガル戦の後にセネガルサポーターもゴミ拾いをし、世界をなごますニュースとなった。

 特筆すべきは「サポーターによるゴミ拾い」は単に「スタジアムをきれいにする」という効果だけではない。ゴミ拾いをし、それが報道されることにより、「マナーのいいサポーターを見るのは気持ちのいいものだ」ということが浸透する。

 そして「自分たちもできることから行おう」といういいマナーが根付けば、暴動を起こすことがばかばかしく思えてくるはずだ。日本対セネガルは2-2の引き分けだったが、セネガルとしてみれば2度のリードがどちらも追いつかれてしまった。言ってみればフラストレーションの溜まる試合と言っても過言ではない。それにもかかわらずセネガルサポーターがゴミ拾いをしたのは非常に喜ばしいことである。

 この行動は波及されることが予想され、ワールドカップのみならず、サッカー観戦後のマナーに大きく影響される可能性がある。そうなれば小さな子供を連れた親を中心に観客も増え、更なるサッカー発展につながるのではないだろうか。

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