気弱な人でも陥ってしまうパワハラの話
2018年6月20日 18:48
パワハラに関する問題を、特に最近は多くの会社で耳にします。
これはパワハラ行為自体が増えている、エスカレートしているというよりは、以前に比べて「自分がいやだ」と感じることに対して、ハッキリと声を上げる人が増えているためだと思われます。
逆にパワハラ行為をしてしまう加害者側の意識は、「これくらい・・・」「昔は・・・」の言い分に代表されるように、この変化について来られない結果のように感じます。
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パワハラ問題を起こしてしまう人を見ていると、強引、強気、不遜、威張る、見下す、自己中心、攻撃的、権威的など、見るからにいかにもパワハラ体質という人は確かにいる一方で、一見するとそこからはまったく縁遠く見える、気弱そうな人も混じっています。
これはあくまで私の印象ですが、問題を起こす人はこの両者に二極化していて、「いかにも」という人だけでなく、「そうは見えない」というタイプの人も、結構な比率があるように感じます。
つまり、もともとの素養というよりは、立場、環境、責任などの後天的な外部要因が、そういう行動につながってしまっているのではないかということです。
ある会社であったのは、やや気弱なおとなしい性格で、どちらかというと自分に自信がないタイプながら、もろもろの事情で管理職に指名され、会社からはいろいろキツイ目標やノルマを課され、そのプレッシャーから、部下にそのまま強引な要求をしていた人がいました。
会社からこのマネージャーへの要求自体がパワハラ的だったということもありますが、要は他人をリードすることが苦手な人材に、無理やりその役割を与えて過度なプレッシャーをかけたために、そういう行動に陥ってしまったようでした。
「部下に無理な要求はしたくない」「でも立場上言わなければならない」。そんな環境に追い込まれて、それでもとにかく上から言われたことを部下にやってもらわなければという焦りがあり、さらに本人は自信がない、どう伝えればよいかもわからないということから、権威を使って無理して強い態度に出るしかなかったということでした。
言ってしまえば、その人の資質が適材適所に全く反していたことが問題の発端だった訳ですが、最近は人手不足、さらにマネージャー不足の傾向から、こういうケースはどんな会社でも多かれ少なかれあります。
ここで共通するのは、「過度なプレッシャー」「フォローの欠如」「一方的な丸投げの連鎖」です。
個人のキャラクターに起因するパワハラは確かに数多くありますが、心の余裕が持てない職場環境、組織の中に「課題をみんなで解決しよう」という姿勢や、お互いの立場を考えて協力する体制が欠けていることから生まれるパワハラがあります。
一番の問題は、もちろんパワハラ行為をしてしまう本人ですが、組織としての取り組みや職場風土の面から改善できることがあります。
つい個人の問題としてとらえがちですが、周りも当事者意識をもって考えることが必要ではないでしょうか。
※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら。