日産、世界初の高成形性980MPa級超ハイテン材を採用拡大 車両軽量化
2018年6月20日 10:07
日産自動車は、新日鐵住金株式会社と共同開発した、世界初となる高成形性980MPa級超ハイテン材(冷間プレス用超高張力鋼板)を採用拡大すると発表した。
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高成形性980MPa超ハイテン材は、第2世代の超高張力鋼板であり、自動車用鋼板として多く使用されている従来の590MPaハイテン材に近いプレス成形性や衝突時のエネルギー吸収性能を持ちながら引張強度980MPa以上の高い強度を両立した鋼板だ。
そのため、従来プレス成形が困難であった複雑形状部品や、衝突時に乗員を保護するためにエネルギー吸収の役割を担う部品への適用ができるようになり、超ハイテン材の採用部品を拡大することで、車体の軽量化をさらに推し進めることが可能となる。
2018年3月に日産が米国で発売したインフィニティQX50のフロントサイトメンバーやリアサイドメンバーなどの車体骨格部材として世界で初めて適用し、今後発売する新型車に採用を順次拡大していくとしている。
同社は車体の軽量化のために、車体部品における超ハイテン材を25%(重量ベース)以上に採用する目標を掲げ、2013年から高成形性1.2GPa級超ハイテン材の採用をはじめ、超ハイテン材適用技術の開発に向けて積極的な取り組みをしてきた。
今回発売したインフィニティQX50では、超ハイテン材適用率27%を達成している。
超ハイテン材は従来のハイテン材と同等の車体性能を保ちながら鋼板を薄くできるため、車両の軽量化が可能となり、燃費や走行性能を向上させることができる。また、車両1台あたりの鋼板の使用重量が少なくなることに加え、この超ハイテン材は冷間プレスが可能なため量産に適しており、生産コストを含めた車両トータルでコストの上昇を抑えることが可能となる。
日産は、今後も超ハイテン材の採用を積極的に進め、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2022」で掲げたCO2の削減や新規採掘資源への依存低減を推進していく。(編集担当:吉田恒)