NEDOと東芝、世界最大のペロブスカイト太陽電池を開発 A4サイズ超え
2018年6月19日 15:31
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と東芝は18日、モジュール面積703平方センチメートルで、エネルギー変換効率11.7%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池モジュールを開発したと発表した。
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曲がる太陽電池。このフィルム型太陽電池は、塗布技術で作製できるため、フレキシブルで軽量な太陽電池を安価に提供できる可能性を秘める。2030年に発電コスト7円/キロワット時を達成する計画だ。加えて、しなやかさと軽量性を併せ持つことは、将来の太陽電池の設置場所拡大につながる。
東芝は昨年9月、モジュール面積25平方センチメートルで、エネルギー変換効率10.5%のペロブスカイト太陽電池モジュールを開発。今回、大面積向けの塗布プロセスの開発とインク組成を工夫し、約30倍と大型化に成功し、エネルギー変換効率も向上させた。
20日からパシフィコ横浜で開催される第13回再生可能エネルギー世界展示会のNEDOブースで試作品を展示する。
●メニスカス塗布技術の特長
メニスカス塗布技術とは、界面張力によって隙間の液体の表面がつくる曲面を利用した塗布技術だ。インクの組成は、ヨウ化鉛(PbI2)とヨウ化メチルアンモニウム(CH3NH3I)(MAI)で、基板でのインク反応を制御する。
具体的には、2ステップの塗布プロセスを採用。1液目でPbI2を塗布し乾燥させ、2液目でMAIを塗布し乾燥させた。乾燥のためのペロブスカイト結晶成長条件を適正化することで、面内膜厚均一性、結晶膜質の均質性を高めることに成功。
実用モジュールに近いサイズの703平方センチメートルで、エネルギー変換効率11.7%を達成。実用サイズ900平方センチメートルに一歩近づいた。
●ペロブスカイト太陽電池(東芝、メニスカス塗布技術)のテクノロジー
フィルム型ペロブスカイト太陽電池は、フレキシブルで軽量だ。シリコン系太陽電池では設置できなかった耐荷重性の低い建築物への設置が可能だ。加えて、建物で消費するエネルギー全てを自然エネルギーで賄うZEB(非住宅系建物のNet Zero Energy Building)やZEH(住宅系建物のNet Zero Energy House)の普及にもつながる。
安価な材料を用い、かつ低コストの塗布・印刷で製造。実用化サイズとして想定される900平方センチメートルを目指し、さらなる大面積化を進める。また、ペロブスカイト層の材料改良で、シリコン系太陽電池並みの高効率を実現。2030年には、発電コスト7円/キロワット時を達成する計画だ。(記事:小池豊・記事一覧を見る)