仮想通貨のみなし業者に期限設定へ 初の登録拒否も

2018年6月18日 13:50

 金融庁は6月7日、仮想通貨交換業者のFSHOに対し、改正資金決済法に基づき登録拒否の行政処分を行った。金融庁から指導されたマネーロンダリング対策の強化、管理体制の整備に対する改善が見られなかったための処分だ。金融庁がいわゆる「みなし業者」の登録を拒否するのは今回が初めてとなる。

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 2017年4月に施行された改正資金決済法によって、仮想通貨と法定通貨の交換事業する業者に関しては金融庁への登録が義務付けられた。ただし改正資金決済法施行前から取引所を運営していた業者に限っては登録申請をしていれば未登録の状態でも「みなし業者」として運営が可能となっていた。改正資金決済法によれば17年4月の施行から6ヶ月の登録期限が設けられていたが、登録の許可・拒否の判定がなされるまでは通常通りの運営が可能となっている。

 しかし18年1月26日にみなし業者の一つであるコインチェックで起こった仮想通貨の大量流出をきっかけとして、金融庁がみなし業者へ監督を強めたことによって審査の基準も厳しくなった。審査基準の厳格化により申請の取り下げやみなし業者の撤退が相次いでいる。今回のFSHOの登録拒否により、16社あったみなし業者は4社までに減少した。FSHOの登録拒否に関しては、特にマネーロンダリング対策の不備が指摘されていた。金融庁の調べではFSHOが同一の利用者に対して複数回、1億円を超える価値の仮想通貨と日本円の取引を行っていたことが分かった。交換業者はマネーロンダリングの疑いがある取引について捜査当局などへの届け出義務があるが、金融庁はFSHOの法令順守体制の未整備などを指摘し、登録を拒否した。

 加えて金融庁は登録申請して未登録のまま運営を続けるみなし業者に対し、営業できる期限を設ける方針を固めた。みなし業者は設定された期限までに安全管理体制などの基準を満たさなければ事実上運営ができなくなる。仮想通貨や取引所、みなし業者などに対する法整備はまだまだ発展途上だ。これからもさらに市場規模が拡大していくと予想される仮想通貨だが、消費者や投資家を守るためにもこれからも引き続き規制や法整備が必要だろう。(編集担当:久保田雄城)

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