Apple Watch OS 5にパーキンソン病の症状のチェック機能

2018年6月9日 18:14

●神経変性疾患のふたつの症状をモニタリング

 6月4日からサンノゼで開催されたAppleの世界開発者会議 (WWDC)において、新しいAPIが発表された。新しいアプリケーション・プログラミングインタフェースには、「Movement disorder Api」と名前がつけられており、Apple Watchのデバイスのひとつを介して病気や症状を監視する機能を有している。神経変性疾患のひとつであるパーキンソン病の症状、手足の震えやジスキネジアをモニタリングし、病気の進行状況を包括的に把握できるという。

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 パーキンソン病をすでに患っている人やその可能性がある人にとっては、大きな手助けとなる機能だ。

●健康の維持だけではなく命も救ったApple Watch

 日常生活における体調や動きを監視し健康状態を把握するAppleによる試みは、2015年3月に発表されたHeakthKitの開発から始まっている。それ以来、睡眠や自閉症、メラノーマの研究にも、キットによるデータは様々な情報を提供してきた。

 今回の発表によれば、Apple Watchが記録した神経変性疾患のデータと医師のデータを照合や、病気の進行具合の追跡が可能となる。

 AppleWatchはこれまでも、心房細動を正確に検知したり高カリウム血症の測定をする機能により、多くの人の命を救ってきた。自覚症状がなくても、Apple Watchのデバイスの迅速な警告によって救急センターに赴き、命が助かったという例もある。

 またスポーツ科学の分野でも、このキットは貢献をしてきた。

●臨床実験を重ねて完成したパーキンソン病のモニタリング機能

 新しく開発されたキットは、いくつかの臨床実験でパーキンソン病を患う1万人以上の患者から収集したデータを用い、3年以上をかけて完成した。

 ResearchKitによって収集されたデータは、以前は研究者や医師たちが把握できなかった重要なデータも含まれており、医療従事者にとっても非常に有効とされている。時間を追って正確に症状が追跡できるこの機能により、パーキンソン病の研究にも大きな第一歩になるとApple社は語っている。

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