スルガ銀行が「かぼちゃの馬車」問題の主役に浮上したか?

2018年6月9日 15:14

 女性用シェアハウス「かぼちゃの馬車」問題で、一躍注目を浴びることになったスルガ銀行は、地銀の中で図抜けた収益力を誇る“優良ビジネスモデル”として金融庁の覚え目出度く、他の地銀の羨望を集めていた。

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 しかし、漏れ伝わるところを“割り引きながらも”総合すると、「かぼちゃの馬車」問題の主役はスルガ銀行だったのだと言わざるを得ない。審査書類の改ざんは、「かぼちゃの馬車」の販売会社がリードしたというよりは、スルガ銀行のお家芸だった雰囲気が濃厚である。

 銀行が融資をする際の大きなポイントの一つは担保価値である。なぜなら、事業が不首尾に終わった場合に、銀行にとって一番頼りになる回収源であるからだ。もちろん、貸出金を100%保全できるような担保を取得することはまず出来ない。しかし、最悪の場合に、どの程度のロスが出るかを見込んだ上で、その取引先の属性とリスク度合いのバランスが銀行内の規定に収まっていれば、銀行は橋を渡る。どんな事業にも当たり外れはある。銀行が事業の成否を書面だけで判断することは不可能なので、担保価値が融資判断に占める割合は大きい。

 「かぼちゃの馬車」では土地の価格が周辺相場を大きく上回っていたり、建築金額の坪単価が物件と不相応に高額だったりしているという。そのオーナーが行き詰って破綻した場合には、物件の処分をしても相当な額のロスが発生する懸念がある。

 スルガ銀行が18年3月期決算の利益を再三見直している。4月末までは430億円と見込んでいた連結純利益は、その後210億円に変更され、6日には69億円まで引き下げられた。絶頂期には「桁違い」と称賛されていた“収益力”は、一桁下がって“並み”になった。その下があるかどうかはまだ分からない。

 スルガ銀行は17年3月期まで、6期連続で増収増益を達成して来た。この6年間は“前年比で増収益を続けなければという全社的なプレッシャー”があって、猛烈なノルマが課せられていたようだ。6年間の間に行内の規則遵守と銀行のあるべき姿を唱える良識派は駆逐・左遷され、目標達成のためには“改ざん”も厭わない勢力が力をつけたのだろう。勤務年数が6年未満の行員にとって“仕事とは規則に合わせて書類を改ざんすること”であれば、不幸なことだ。スルガ銀行の抱えている病巣は大きく、根深いと言わざるを得ない。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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