出生数、2017年は過去最低に 人口の自然減は過去最大

2018年6月8日 10:30

 日本の少子高齢化が止まらない。厚生労働省が発表した2017年の人口動態統計の年間推計によれば、2017年に生まれた赤ちゃんは94万1千人。2016年に出生数が初めて100万人を割り込んだが、17年はそれよりもさらに少ない出生数であった。その一方で死亡数は戦後最多の134万4千人を記録し、死亡数から出生数を差し引いた人口の自然減は統計を取り始めてから初めて40万人を超える見通しだ。

 日本の出生数は先進国の中でもとりわけ低い。厚生労働省による世界9ヶ国での人口1千人当たりの出生率の比較では、米国・英国がともに12以上、フランス・スウェーデンが11.8なのに対し、日本はわずか7.5で最下位となっている。この大きな理由としては長年にわたる出生数の減少により親になる世代が少なくなっていることだ。1971年から74年に生まれた団塊ジュニアの世代から徐々に出生数は低下し続けているため、今後も出生数が大きく伸びる可能性は低いと言える。その一方で65歳以上の高齢者は人口全体の28%を占める3,015万人へと増加した。人口の自然減と高齢者の増加に伴う若年層の負担増への不安は高まるばかりだ。

 安倍政権では出生数の低下に歯止めをかけようと雇用安定策、結婚支援策、待機児童の解消などの政策に着手してはいるが、今のところまだその効果は薄い。依然出産・子育てに対する主婦層の不安は大きく、「子育て・教育にお金がかかるから理想の子供数を持たない」と答えた人は30歳から34歳までの妻の割合は80%を超えた。加えて若年層の晩婚化・未婚化も深刻な問題だ。平均初婚年齢は年々上昇しており、50歳までに結婚経験がないという男性は23.4%、女性は14.1%となっている。2017年には婚姻件数も千五歳勝を更新すると予想されており、人口減少の打開策は見つかっていない。

 このまま出生数の減少、人口の自然減、高齢者の増加が進んだ場合、医療や年金、福祉などの社会保障費が膨らみ続けることは容易に想像できる。そしてその費用を負担するのは数が少なくなった15歳から64歳の生産年齢人口だ。国民一人ひとりの負担を少しでも軽減するためにも、少子化対策に成功した諸外国の例を参考にしながら出生数の減少を食い止める努力が必要なのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)

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