「相手によって態度が変わる人」はどうやら自分に自信がない

2018年6月7日 11:28

 もうずいぶん前のことになりますが、ある会社の担当者の話です。
 しばらくはお互いの素性を知らないままで、ミーティングや仕事上のやり取りをしていて、見た目ではたぶん同世代くらいの人ではないかと思っていましたが、私への態度がちょっと普通と違っていました。
 もちろん丁寧に接してくれてはいるのですが、違和感の理由は、例えば必要以上に持ち上げられたり、やたらとしつこくお世辞を言われたり、何を言っても「おっしゃる通り」という感じで、失礼を承知で言えば、ちょっと媚びていると思っていました。

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 その後、たまたま雑談でいろいろ話す機会があり、そこで実は同い年だということがわかったのですが、今度はそこからの態度が、ちょっとびっくりするほど正反対に変わったのです。タメ口や友達口調が出るようになり、これも失礼を承知で言えば、やけになれなれしいという感じでした。
 こういう豹変は、こちらとしてはあまり気分の良いものではありません。ただ、その時の担当者の表情が、穏やかに変わっていたのが印象的でした。

 その理由を本人に聞くことはありませんでしたが、様子を見ていて何となくわかったことがありました。
 この人は、とにかく相手によって態度が違い、まずは媚びている様子がよく目につきます。基本的には役職が上、年令が上というような人たちと、つながりが薄い相手に対してはみんなそうです。
 一方で、なれなれしく接する相手が一部にいて、時にはそれが横柄に見えてしまうこともありました。すべて自分の部下、同期、年下の同僚たちです。ただし、そういう態度をする相手は、自分が「この人は大丈夫」と思った一部の人のようで、全部が全部ではありません。
 中でも自分がマネジメントしなければならない部下に対しては、なれなれしいというより、上から押さえつけるようなきつい言動が多いようでした。

 それ以外の行動や性格を見ていて、私が思ったのは、基本的に「自分に自信がない人」なのだということでした。
 自信がないので、自分が少しでも優れているか同等のことを見つけると、それを糸口に力関係を戻そうとしたり、必要以上に権力に頼ったり、指示命令の口調が偉そうに見えたりします。とにかく自然体ではありません。

 この人の自然体は、たぶん争うことや目立つことは嫌いで、人に命令したりするのは苦手で、社交的ではなく、対人関係もそれほど得意ではありません。
 実はそんな地味で謙虚な人なのに、年令とともに役職がつき、指示命令をすることが求められるようになり、そんな自分が苦手で自信がないことをやらなければならない立場になって、自然体ではいられなくなった結果が今の姿ではないかと思いました。

 役職がついた途端に威張り始める人や、権力を笠に着る人、上下関係に敏感な人は、それをすべて計算してやっている人がいるかもしれませんが、私が見てきた多くの人は、自分に自信がない裏返しがそういう行動になっていました。

 人によって違う態度は、当然ですが他人の心証は良くありません。自分にとって損するならば直した方が良いですが、これまでの話から、その方法は単純に「自分に自信を持つこと」となります。
 「相手によって態度が変わる」と指摘されたことや、自分で思い当たることがある人は、まずは自然体に立ち返り、自分の自信が持てることを考えてみてはいかがでしょうか。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

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