ホンダジェット ニューモデル投入 カテゴリーNo.1の座を不動に
2018年5月31日 17:38
28日の日経新聞は、ホンダが小型ビジネスジェットのニューモデル「ホンダジェット エリート」を発売することを伝えている。「エリート」は現行モデルと比較して航続距離が約17%伸び、静粛性が向上した上に、離着陸時などの安定性も改良された。
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ホンダジェットは17年の出荷機数が43機となり、VLJ(Very Light Jet)のカテゴリーで世界第1位を初めて獲得、国際的な評価の高さを営業実績で証明した。これまでの累計運用機数は84機となっている。
ニューモデルの「ホンダジェット エリート」は、8月から米国や欧州へ出荷される予定で、18年の通算出荷機数は前年超えの50機台を目標としている。
ホンダジェットは当初「使える空間を最大にする」「キャビンの快適性を優先する」「荷物スペースを最大にする」ことをテーマに設計を進めたが、その結果辿り着いたのが、翼の上にエンジンを配置する独創的なスタイルである。そしてこのスタイルが空気抵抗を低減するという想定外の効果を生み出し、クラス最高の低燃費を実現した。
さらに、翼の上面にエンジンを配置したことで、胴体の後部にプライバシーが確保されるトイレの設置を可能にした。VLJのカテゴリーに含まれる競合機の中で、プライバシーが保たれるトイレを設置している機種は「ホンダジェット」のみである。セスナもエンブラエルも簡易トイレを使用している。
乗員を除くと6名が搭乗可能な「ホンダジェット」は、同乗者の目から逃れて孤独になれる。競合機は簡易トイレである。VLJの購入を検討する富裕層が、この違いを無視することはないだろう。そしてこのアドバンテージは、ジェットを飛ばすエンジンの配置という機体構造の根本に関わることなので、現行機種のマイナーチェンジ程度では克服できない。
ホンダジェットはVLJクラスで最も速く、高い高度の飛行が可能で、燃費も一番ということは、机上で比較できる基本性能である。
これに対してトイレの問題は、試乗して感じるメンタルな問題である。「孤独な時間」を大切にする感性があれば、購入決定へのダメ押しになる。つまり、カテゴリーNo.1の座は不動と言えるのではないだろうか?(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)