どこまでも現実を叩きつけるドラマ!「あなたには帰る家がある」7話レビュー
2018年5月27日 18:06
■各役者の怪演が話題を呼ぶ7話
TBS系列のドラマ「あなたには帰る家がある」の第7話が5月25日に放送された。秀明の犯した過ちからはじまった悲劇に、真弓がついに1つの決断を下す。その決断のリアリティにドラマ終盤からは悲鳴が聞こえそうになるほど、各役者の演技によってのめり込めるクオリティとなっている。
【前回は】木村多江、圧巻の演技!「あなたには帰る家がある」6話レビュー
■離婚への準備をはじめる真弓
佐藤秀明(玉木宏)は茄子田綾子(木村多江)との不倫が原因で大けがをして、はじめて家族の尊さを感じ取る。真弓(中谷美紀)も娘の麗奈(桜田ひより)のために離婚だけはしないと決意していたが、我慢の限界が来てしまう。退院してきた秀明に離婚を伝えると、彼女は瞬く間にToDoリストを作成して準備をはじめた。
なんとか家族を続けたい秀明だったが、父の不倫という事実を娘の麗奈は受け入れられなかった。家族会議にて離婚する旨を伝えると、あっさりと承諾。妻だけでなく娘からも見放された秀明は、自分の部屋にいながらも居場所を無くしてしまったのだった。
麗奈にも離婚することを伝えたことで、真弓は俄然と離婚に向けて走り始める。自分が秀明と暮らしてきた痕跡を消すように掃除をはじめ、あらゆる思い出の品を捨てていく。中には結婚指輪も含まれており、今後の資金のために売り払うことまで決めてしまうのだった。
■孤独になる秀明に忍び寄る綾子
秀明の不倫相手である綾子は未だに太郎(ユースケ・サンタマリア)の実家に住んでいた。しかし、事実上の家庭内別居のような形となっており、綾子は太郎に離婚届を押し付けていた。それでも判子を押さない太郎に業を煮やし、ひそかに貯金していた隠し通帳を握り、結婚指輪を置いて家を出てしまった。
その一方、秀明は新居を探して契約を済ませていた。こじんまりとした新居でうなだれていると、なぜか綾子がそこを訪れる。あまりのことに驚くも、秀明はなんとか彼女を追い返す。綾子の執拗な姿勢に恐怖さえ感じる秀明は、なんとか真弓との生活を再生したいと思い至る。
しかし、秀明の思いも虚しく真弓と共に役場へ離婚届を提出する日となってしまう。秀明は最後にやり残したことと思い出の場所巡りをするも、最後にはお互いに抱えていた13年分の不満をぶちまけるのだった。
結婚生活をはじめると、お互いの言いたいことが言えなくなるというのはよく聞く話である。その話にリアリティを持たせたのが今回の7話だった。娘の成長だけに奔走した夫婦が不倫という問題をぶちあたり、やっと本音を言い合う姿は悲劇ながらも、どこかコメディにも見えてしまう。
よくあるドラマならここでハッピーエンドに向かうところだが、どん底まで突き落とすのが「あな家」の魅力でもある。不倫した秀明はどんどん不幸になっていくのだが、彼が本当の意味で再生する日は来るのだろうか。
「あなたには帰る家がある」はTBS系列にて毎週金曜日22時から放送。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る)