ビタミンCが認知症リスクを低減する、金沢大学より世界初の報告
2018年5月27日 17:57
金沢大学の研究グループが、ビタミンCが認知症リスクを低減する事実を世界で初めて明らかにした。研究グループに名を連ねているのは、金沢大学医薬保健研究域医学系脳老化・神経病態学(神経内科学)の山田正仁教授、篠原もえ子特任准教授らの研究チームである。
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より正確に言うと、まずアポリポタンパクE(アポE)E4というものがある。これは認知症の遺伝的危険因子であり、そしてかなり強力なものである。これを有する高齢の女性において、血中のビタミンC濃度が、認知症機能低下リスク減少と関連していたことが明らかになったというのが今回の研究である。
ちなみに認知症であるが、遺伝的要因と、生活習慣や生活習慣病などの環境因子が相乗して原因となっているというのが今日主流の研究である。アポEというリポタンパク質は誰でも持っているのだが、E2、E3、そしてE4という四つの型がある。日本人における調査では、E4型の所持者はE2・E3の所持者に比べて3.9倍、アルツハイマー病発症のリスクが高いという。
さて、ビタミンCについて考えてみよう。ビタミンCはL-アスコルビン酸ともいう。ビタミンと呼ばれるものはみなそうなのだが必須栄養素の一つである。コラーゲンの合成に必要な物質であり、不足すると有名な壊血病を引き起こす。壊血病の治療法が解明された後もビタミンCそのものが発見されるには久しく時間がかかり、その正体が特定されたのは1932年のことであった。その後、「ビタミンCは大量に摂取すればするほど体によい」という学説が出たことも有名なのだが、こちらは今日ではほぼ否定されている。というか、否定されていた、というべきだろうか。
さて、研究の結論は最初に述べた通りであるが、今回女性に限って結果が出るのは、男性のE4所持者のサンプル数が足りなかったためであるらしい。
今後の研究方針としては、まずはなぜビタミンCがこのような効果をもたらすのか、その作用機序を解明していきたいという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)