建設工事受注に足踏み 2017年度は3.1%減 民間増加も公共で減少
2018年5月24日 15:58
建設工事受注は2016年末をピークに17年以降は減少傾向で推移している。未だ指数値としては高い水準を維持しているというものの、リーマンショック時からの回復過程での設備投資循環に一服感が表れたものと考えられる。
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国土交通省は11日、3月分の「建設工事受注動態統計調査報告」を公表、これで2017年度分のデータが全てそろったことになり、同日「建設工事受注動態統計調査報告(17年度分)」を合わせて公表した。
17年度の受注高は83兆3416億円で前年比3.1%の減少となった。うち元請受注高は57兆7943億円で、同0.7%減少となり、下請受注高は25兆5473億円 で同8.1%減少となった。元請受注高のうち公共機関からの受注高は15兆9,597億円で2.8%減少、民間等からの受注高は41兆8346億円で同0.2%増加した。
業種別に見ると、完成まで全ての作業を受注する総合工事業は52兆8474億円で1.8%の減少。建築物や土木施設などの工事目的物の一部を受注する職別工事業は9兆8165億円で17.7%の減少。電気・空調・給排水・昇降設備などの工事を受注する設備工事業は20兆6776億円で2.3%の増加であった。
17年度の公共機関からの受注工事額は15兆3276億円で前年比1.8%の減少であった。うち国の機関からは5兆3506億円で同3.0%の減少となり、地方の機関からは9兆9769億円で同1.2%減少した。工事分類別にみると、受注工事額の多いのは「道路工事」が4兆4871億円、「教育・病 院」が1兆9760億円、「治山・治水」が1兆4666億円となっている。
民間等からの受注工事では、建築工事及び建築設備工事の受注工事額が9兆9654億円で前年比5.3%の増加となった。工事種類別にみると、受注工事額が多いものでは「住宅」が2兆3669億円、「工場・発電所」が1兆7936億円、「事務所」が1兆5577億円となっている。土木工事及び機械装置等工事の受注工事額は6兆8,371億円で前年比10.1%の増加であった。発注者別・工事種類別にみると、受注工事額の多いものは製造業の「機械装置等工事」が1兆6,811億円、運輸業・郵便業の「鉄道工事」が9477億円、電気・ガス・熱供給・水道業の「機械装置等工事」8780億円であった。
建設工事受注高は減少傾向であるものの建設関連の有効求人倍率は直近データで10倍を超えており、深刻な人手不足の状態にある。(編集担当:久保田雄城)