無期雇用転換ルール、認知度は31% ルールに「賛成」は57%
2018年5月22日 13:01
2013年4月に改正労働契約法が施行されてから5年が経過した。法の改正によって5年以上働いたパート・アルバイトや派遣・契約社員などの有期契約の労働者が無期雇用に転換する申請を雇用企業に対して行えるようになった。改正法施行から5年経過する4月からこの無期雇用転換ルールが現実に適用されることになり、この新ルール適用の影響は「2018年問題」と呼ばれている。
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この2018年問題について職業紹介業のディップが「無期雇用転換ルール(2018年問題)について」アンケート調査を実施した。有効回答者1369人に「無期雇用転換ルールを知っているか」と質問したところ、「よく知っている」が9%、「少し知っている」が22%で、両者を合計すると31%の者が新ルールを認知している。一方、「まったく知らない」が42%、「あまり知らない」が26%で合計69%が新ルールを知らないという結果であった。認知度は決して高くないようだ。
回答者全員に対して無期雇用転換ルールについて賛否を尋ねたところ、「賛成」が57%、「反対」が6%で賛成派が多数あった。一方、「わからない」と答えた者が37%と多く、これは認知度の低さと関係すると思われる。賛成と回答した者にその理由を尋ねたところ、「雇用の安定が保証されるため」が33%と最多で、次いで「同じ仕事を続けられるため」が18%、「契約更新の手間がなくなるため」、「長期的なキャリア形成がしやすくなるため」「待遇改善が見込めるため」がともに12%と続いている。
「無期雇用転換を希望したいか」という問いに対しては、「希望したい」が54%で半数を超え最多であった。しかし、既に希望した者は「既に希望して受諾されている」が2%で「既に希望したが、受諾されていない」1%と実際に希望申請を行ったものはわずか3%のみである。無期雇用転換ルールについての認知度の低さが影響していると思われる。
認知度の低さは有期契約の労働者の多数がパート・アルバイトであり、雇用契約の条件が十分告知されていないからではないだろうか。労働契約法の改正は非正規の雇止めの防止や雇用の安定を図る目的で実施されたものだが、有期契約が漠然と更新される現在の慣行だと企業、労働者双方に不利益になる場合も多い。厳格な契約更新を行うとともに無期転換ルールについても十分な告知を行い制度が生かされるようにして行く必要がある。(編集担当:久保田雄城)