過去30年間に発表された音楽、より「悲劇的」な歌詞に カリフォルニア大の研究

2018年5月22日 06:45

●過去30年間の50万曲を調査

 英国王立協会のオープンアクセス誌『Royal Society Open Science』に、カリフォルニア大学の研究結果が掲載された。テーマは、1985年から2015年の30年間に発表された音楽についてである。その50万曲を調査しカテゴリー化したところ、「幸福」をうたった曲の数が激減、「不幸」を歌った曲が増えた一方、ダンスミュージックが飛躍的に増加したことが判明した。

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●歌詞は悲しく、曲調は明るく

 音楽の影響力と人気が年代ごとにどのように変化をしていったのか、その過程で社会的経済的な状況と歌詞に関連性があったかなど、カリフォルニア大学の研究はあらゆる観点で行われた。また、その年代にヒットした曲だけではなく、まったく受け入れられなかった曲についても調査を行っている。

 その結果、過去の30年間に音楽の歌詞の内容は「栄光」や「幸福」なものから「不幸」「悲しみ」をうたったものが多くなり、曲調は逆にダンスミュージック調のものが増えていることが判明した。

 また、年代別に大衆に好まれた音楽の傾向を例に挙げると、2014年はサム・スミスの『Stay with me』、パッセンジャーの『Whisper』、ゴルゴンシティの『Unmissable』であった。ちなみに、1985年はブルース・スプリングスティーンの『Glory Days』、ユーリズミックスの『Would I Lie to You』、ワム!の『Freedom』である。大衆の好みの変化が、これらからも理解できる。

●時代をうつす「音楽」

 さらに、2000年以降はロックと呼ばれるジャンルが低調でヒット曲も激減した。それに反比例して、ダンスやポップの需要が大きくなっている。

 また、ボーカルのカテゴリーにも奇妙な発見があった。近年、男性的な声の曲は人気が低迷しているというのである。

 研究によって、世間で好まれる音楽の変遷がよくわかる。肯定的な感情がこもった曲から、孤独や社会からの隔絶を歌った曲がメジャーになってきたのである。

 研究者は、「はなやかなものから人々の関心が離れる一方で、まるで悲しみを忘れたいと願うかのように、踊ったりパーティーをするための音楽が好まれている」と語っている。さまざまな矛盾を含んだ今回の調査結果は、まさに現代社会の象徴といえるのかもしれない。

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