132.8億光年の彼方に酸素を発見、アルマ望遠鏡が記録を更新
2018年5月21日 09:22
132億8,000万光年のかなたの銀河、MACS1149-JD1に酸素が発見された。この記録は、酸素の最遠方検出記録を更新するものである。大阪産業大学/国立天文台の橋本拓也氏、大阪産業大学の馬渡健氏(現在の所属は東京大学)と井上昭雄氏らの国際研究チームが発表した。
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まず、距離からである。MACS1149-JD1が132億8,000万光年の距離にあるということは、今回の観測によって初めて明らかになった。また、その上で、その銀河に酸素が含まれていることも明らかになったのである。
現在の理論では、宇宙は138億年前、ビッグバンによって誕生したと考えられている。それから数億年で最初の銀河が誕生したと考えられるが、それが具体的にいつのことで、銀河がどのように成長したのか、確かなことは謎に包まれている。これは現代天文学における最大級の謎の一つである。
さて、宇宙初期の銀河の様子を調べるために、今回の研究チームはハッブル宇宙望遠鏡で発見された遠方銀河MACS1149-JD1を、アルマ望遠鏡によってさらに観測した。観測の狙いは、おそらくはこの銀河に含まれているだろうと考えられる、酸素イオンが出す波長88マイクロメートルの赤外線であった。結果として、宇宙の膨張によって大きく引き伸ばされた赤外線が、波長893マイクロメートル(0.893ミリメートル)の電波となって観測された。
ハッブルでは距離測定はおおまかにしかできなかったが、アルマはこの銀河との距離を正確に割り出すことにも成功した。なお、欧州南天天文台の可視光赤外線望遠鏡Very Large Telescope(VLT)からの分析もほぼ同じ値を示したので、このデータの信頼性は高いと考えられる。
研究の詳細は、科学誌ネイチャーに掲載された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)