生活保護の被保護人員が減少 高齢単身者では増加 2月調査
2018年5月18日 12:11
高齢化の進展により社会保障関係費は膨張の一途だ。財政赤字も累積し続けている。政府はこれまでも社会保障関係費膨張の抑制策として、自立支援その他の生活保護費抑制策を講じてきた。
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生活保護の被保護人員の数は2015年3月をピークに減少傾向に転じ、被保護世帯数も17年11月をピークに減少傾向だ。この背景には自立支援などの社会保障政策の拡充や景気回復に伴う雇用環境の改善によって就業の困難さが軽減していることも一因として考えられる。
8日、厚生労働省は生活保護の被保護者調査(2月分概数)の結果を公表した。被保護実人員は211万5368人となり、前月より3480人減少し、対前年同月と比べると2万6530人の減少となった。人口百万人当たりの保護率は1.67%で、前年同月と比べ2ポイントの減少となった。
被保護世帯は163万8384世帯となり、前月より1618世帯減少し、対前年同月と比べると568世帯の減少となった。
類型別に被保護世帯数をみると、高齢者世帯が86万3761世帯で、全体の53.0%を占め、前年同月比2.9%の増加となっている。高齢者世帯のうち単身世帯が78万6734世帯で、全体の48.3%を占め、前年同月比は3.3%の突出した増加になっている。
高齢者を除く世帯は76万6304世帯で全体の47.0%を占め、前年同月比は3.2%の減少となっている。うち、母子世帯は9万2145世帯で、全体の5.7%、前年同月比は7.1%の減少と最も大きな減少幅になっている。障害者・傷病者世帯の計は42万597世帯で、構成比は25.8%、対前年比は2.2%の減少となっている。母子世帯および障害者等世帯で目立った減少が見られるのは、少子化により対象母数の減少と景況の回復による人手不足感を背景に自立支援策が功を奏していることも一因としてあげられる。
種類別扶助人員(重複あり)をみると、生活扶助が188万1256人で最も多く、次いで住宅扶助の180万9708人、医療扶助が176万6955人、介護扶助が37万996人、教育扶助が12万4157人という順になっている。長期的な傾向を見ると、生活扶助、住宅扶助、教育扶助は減少傾向で推移しており、一方、介護扶助は増加傾向で推移している。
自立支援策等の拡充により就労の機会が提供され被保護人員が抑制されることは望ましいことだが、かつての被援助者潰し競争のようにならないよう現場職員のスキルの向上に期待する。(編集担当:久保田雄城)