建設業許可業者の減少傾向続く、ピーク時に比べ2割以上減

2018年5月17日 15:59

 戦後、復興期や高度成長期に社会インフラ整備を中心に建設業が日本経済を牽引する大きな力であったことには間違いない。また、安定成長期以降も公共事業が景気対策として大きな役割をはたし、建設業はやはり重要な産業であった。21世紀に入り、財政構造の悪化や所謂「真水投入」の不発もあり、「ムダな公共事業」縮小論へと急速に傾いて行った。以後、日本の建設業者数は減少傾向へと転じる。

【こちらも】大手ゼネコン、国内売上6年連続で増加 海外契約は2年連続で減少

 国土交通省は9日、2018年3月末時点での建設業許可業者の現況について調査した「建設業許可業者数調査の結果について」を公表した。

 17年度末での建設業許可業者数(建設業法第3条第1項許可者)は46万4889 業者で、前年度と比較して565 業者の減少、伸び率では0.1%の減少であった。建設業許可業者数が最も多かった2000年3月末のピーク時と比較すると、13万6091業者減少し、増減率で22.6%減少したことになる。

 17年度における新規許可・廃業等の状況については、新規に建設業許可を取得した業者は2万1035業者で、前年度比813 業者、4.0%の増加。廃業者数は、建設業許可が失効した業者が2万1600業者で、前年度比803業者3.6%の減少となっている。この内、許可の更新手続きの不履行で許可失効した業者が半数以上の1万1999業者いる。

 都道府県別にみると、東京都が4万2730業者で全体の9.2%、大阪府が3万7454業者で全体の8.1%、神奈川県が2万7342業者で全体の5.9%と都市部で多くなっており、一方、鳥取県が2064業者で全体の0.4%、島根県2796業者で全体の0.6%、高知県が2932業者で全体の 0.6%と地方で少なくなっている。都道府県ごとにピーク時(2000年度末)と比較をすると、全ての都道府県で減少しており、特に秋田県の32.8%減少、群馬県の32.8%減少、宮崎県32.6%減少と地方で減少幅が大きい。

 現在、社会インフラ修繕、震災復興、オリンピック関連で建設需要が高まり、建設業躯体工事の有効求人倍率は10倍を超えている。人手不足が深刻化する中、IT化の進展などにより業者数の数は今後も減少傾向を維持するであろう。産業構造でのシェアは低下傾向ではあるものの、建設業の稼働は鉄鋼業まで迂回し、その誘発度は大きい。効率化的で乗数効果の高い建設業が望まれる。(編集担当:久保田雄城)

関連記事

最新記事