東北新幹線、上野~大宮間で最高速度引き上げ 所要時間を最大1分短縮へ
2018年5月17日 09:19
JR東日本は16日、東北新幹線・上野~大宮間の所要時間短縮に向け、工事に着手することを発表した。これまで該当区間における埼玉県内での最高運転速度は110Km/hだったが、20km/h引き上げて130km/hとし、所要時間を最大で約1分程度短縮する。
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東北新幹線は、東京~新青森間の713.7km(営業キロ)を結んでいる。そもそもが200km/h以上の速度で走る高速鉄道であり、大宮~新青森間は260~320km/hを推移している。ところが今回時間短縮が期待されている東京~大宮間はその走行速度が在来線並みの110km/に抑えられているのだが、この区間だけなぜ速度が遅いのか。
当初、1971(昭和46)年に着工した東北新幹線の東京~盛岡間の中で、東京~大宮間の埼玉県内区間のうち約11kmは地下トンネルを建設する予定だった。ところが地盤沈下のためトンネルの建設を断念し、高架橋方式に計画を変更した。
この計画変更が沿線住民や自治体からの騒音・震動へのクレームを引き起こすこととなり、騒音を低く抑え、最高速度を110km/hに抑えることでようやく合意に。全線の開通は、1971年の着工から14年以上たった1985年だった。
今回速度引き上げの対象となる約12kmを含む大宮までの区間について、当時の国鉄は、カーブや勾配が急で速度を出せないため、最高速度を110km/hに抑えるとしていた。当該区間以外での最高速度が引き上げられた後も、当時の合意はそのまま維持され、現在も開業当時の110km/hのままとなっている。
発表では、東京都と埼玉県の都県境にある荒川橋りょうから大宮駅の少し手前までの約12kmで最高速度が引き上げられる。全12kmのうち大部分が130km/hになり、埼京線・与野本町駅付近は115km/h、北与野駅付近は125km/hになる。
これに伴う騒音対策のための工事は合計約3kmで行われ、吸音板を、戸田公園~戸田間、戸田~北戸田間、南与野~与野本町間の一部区である約2kmに設置。残りの約1kmである戸田~北戸田間、南与野~与野本町間、与野本町~北与野間の一部区間では防音壁をかさ上げする。工事期間は、5月下旬からおおむね2年程度を予定している。(記事:M_imai・記事一覧を見る)