コウモリの超音波は何故混信しないか、同志社大学の研究
2018年5月11日 11:53
同志社大学などの研究グループは、集団で飛行するコウモリが超音波の周波数を互いに調節し合い、混信を回避している事実を明らかにした。研究発表は、同志社大学生命医科学部の飛龍志津子教授、長谷一磨大学院生らの連名で行われている。
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コウモリが超音波ソナーの能力を有することはよく知られている。いわゆる反響定位(エコーロケーション)である。種によって微妙な違いはある(コウモリと一口に言っても1,000種に近いコウモリがおり、反響定位をしないコウモリもいる)が、だいたい30kHzから100kHzくらいの高周波を出し、その精度はとても高い。
また、これもやはり種にもよるがコウモリには集団行動をするものも多い。コウモリが集団で飛行する場合、別々の個体がそれぞれに超音波を発するわけであるが、暗く狭い洞窟などのような環境にあっても、彼らが他の個体と衝突するようなことはほぼない。これは何故なのか。その謎に挑んだのが今回の研究である。
さて、今回の研究では、複数のコウモリにテレメトリマイクロホン(コウモリの発した超音波の周波数を正確に記録することができる、マイクロホンで受信した音声を無線によって遠隔にある装置で受信し記録するシステム)を搭載し、それぞれが発する超音波を分析した。
結果として、1個体で飛行する際にはほぼ同じ帯域の超音波を使用していたそれぞれのコウモリが、複数で飛行する際にはそれぞれ微妙に差のある超音波を使用している事実が明らかになった。
今回の発見は単に動物学上の発見であるだけでなく、自律センシングロボットの群制御などの発送に応用することが可能ではないか、と研究グループは述べている。
なお、研究の詳細は、Communications Biologyに公開されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)