睡眠障害が糖尿病と高血圧に関連 京大の研究 7000人以上を調査
2018年5月10日 20:11
京都大学は9日、松本健医学研究科客員研究員、陳和夫同特定教授、松田文彦同教授らの研究グループが、滋賀県長浜市と共同で行った「ながはまコホート」事業において、睡眠障害と糖尿病および高血圧の関連を解明したことを発表した。
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世界最大規模の7,000人の客観的な睡眠時間、睡眠呼吸障害と肥満の相互関連と高血圧・糖尿病の関連を横断的に調査したとしている。その結果次のことが明らかになったという。
1.短時間睡眠が睡眠呼吸障害と関連している
睡眠時間が短い人は睡眠呼吸障害の有無の検査が有用である可能性があるという。
2.睡眠呼吸障害は高血圧、糖尿病の頻度の上昇と関連、さらに性差が認められる
治療すべき睡眠呼吸障害を有する人は、高血圧、糖尿病の検査が望ましく、特に閉経前女性の睡眠呼吸障害においては糖尿病に注意する必要があるという。
3.肥満と高血圧、糖尿病との関連は睡眠呼吸障害が間接的に媒介している
高血圧、糖尿病の基礎病態である肥満の治療としての減量以外に、睡眠呼吸障害の治療も加えて有用である可能性があるという。
■研究手法・成果
客観的な睡眠時間の評価のために腕時計型の加速度計と睡眠日誌を、睡眠呼吸障害の評価には、指先に装着する検知器「パルスオキシメーター」を用いて、健診会場にて受診者に、前者は7日間、後者は4日間の測定を依頼。
その結果、睡眠呼吸障害は明確な違いが認められ、特に治療対象と考えられる中等症以上の睡眠呼吸障害の頻度は男性で23.7%と多いこと、閉経前女性では1.5%と少ないものの、閉経後女性では9.5%と頻度が高くなることが判明したとしている。
さらに、睡眠呼吸障害や肥満は重症度が高くなるにつれて、睡眠時間が短くなることが判明。また、睡眠呼吸障害は男女とも高血圧に関連しており、その重症度が高くなるにつれて関連度が高くなったが、糖尿病に関しては女性においてのみ関連しているという。
肥満は男女ともに高血圧、糖尿病と関連があったものの、短時間睡眠は高血圧、糖尿病いずれにも関連が認められなかったとしている。高血圧や糖尿病に対する肥満の関連については、睡眠呼吸障害により約20%間接的に媒介されており、性差が認められたという。